2004/10/9 シカゴ・マラソン前日
4選手のシカゴへのスタンス
高岡寿成
「記録を狙うのは今回が最後」
高岡寿成(カネボウ)の今回のマラソンへの思いは強い。詳しくは発売中のスポーツ・ヤァ!の記事を参照してほしいが、
「アテネ五輪で最高の状態をつくれるとやってきたから、今年が最高の状態のはず」
「記録を狙うのは今回が最後だという思いが強い」
「過去3回のマラソン経験が今回に生きる」
というのが、シカゴに懸ける高岡の意気込みであり、記録を出せる根拠でもある。伊藤国光監督は「同じペースで練習をしていても、余裕度が違う」と、今回の高岡を評価している。
その取材をしたのが9月29日。その後の“重要な10日間”の状態も「普通でした」(高岡)という。高岡が“普通”と言う場合は、他の選手なら“問題なく好調”という表現になるだろう。高岡はこの“普通”“いつも通り”を繰り返すことで強くなってきた選手でもある。そのことに関する詳しい論述は控えるが、同行している外舘トレーナーからも「(体の状態は)いつも通りです」の言葉が発せられている。
ダニエル・ジェンガ
「先頭が2時間4分台で行くのなら僕も」
2年前に高岡と好勝負を演じたダニエル・ジェンガ(ヤクルト)も今回、シカゴで期待できそうな状態だ。日本を出発前に物江収コーチに話を聞くと、1年前の東京国際マラソン前よりもいい流れで練習ができているという。
・練習のペースが安定していること
・練習のタイムも悪くないこと
・走った後に疲れ切っていないこと
など、一言でいえば「本人が乗っている」、ことが期待できる理由だという。
「先頭に着いていくだけです。先頭が2時間4分台(のペース)で行くなら、僕もそのタイムで行きます」という、本人のコメント。
橋本康子
「後半を走りきるレースを」
昨年のベルリンで優勝し、名古屋国際女子マラソンで12位(2時間35分12秒)と敗れた橋本康子(サミー)。その後、故障も重なってすぐに練習を開始できなかったが、故障が治っても「気持ちがなかなか入らない」状態だったという。
「いっそのこと、誰とも逢わないとか、くさってしまったら楽だったのかもしれませんが、そういう部分をチームメイトにも、一般の人たちにも知られたくなかったんです」
その状態から脱したのが、「夏を過ぎてから」だった。練習内容には正直、不安もあるという。森岡監督は次のように説明する。
「調子の上がり方は早くて、日本選手権(1万m)でも順位は同じでも去年よりちょっとタイムがよかった。6・7月と練習量を増やせたのですが、その分、8月が上がってきませんでした。40km走の後半の上がり方が、納得できるものが少なかったんです。でも、半年に1本ずつのマラソンをやってくるなかで、地力の部分は上がってきていると思います」
メンタル面の話だけを聞くと落ち込んでいたようにも思えてしまうが、アメリカ合宿中のロードレースも含め、予定のレースもきっちりこなしている。
「(中間点が1時間13分と)守りのレースをするのは残念ですが、今の力を出そうという考え。次は、こういう大会で優勝争いもしたいし、記録も出したいという欲が出てきています。試合に向けた調整では、けっこう上がってきているので、あとは力を出すだけです。後半を走りきるレースをしたいですね」
高塚和利
「今回の経験をステップに世界選手権代表を」
高塚和利(小森コーポレーション)のマラソン全成績は以下の通り。
02びわ湖 16位 2.13.45.
03びわ湖 51位 2.20.49.
04びわ湖 5位 2.08.56.
この流れで海外の高速レースに来たのだから当然、自己新、さらには2時間7分台も狙っているのかと思ったが、中間点を1時間03分30秒で通過する第2グループにつくという。
「2時間10分を切るのが目標です。札幌ハーフで坐骨神経痛が出てしまい、7月の練習が思うようにできませんでした。今回はちょっと違う形のマラソンを経験してみたかったのと、世界記録を狙うような大会を経験することで、次につながる何かを感じられたらいいと思っています」
シカゴ出場のスケジュールを変更しなかったのは、びわ湖で世界選手権切符を取るという最大目標から逆算してのこと。しかし、平石浩監督によれば、故障後の練習では「北海道と菅平の2週間ちょっとの合宿で700kmくらい走り込めた。1〜2回、思うように走れませんでしたが、中盤から後半では予定通りに走れましたし、取手に戻って体も絞れてきた」と言う。
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