2003/8/21 世界選手権
室伏が共同会見
「(試練を)避けるというのでなく、しっかり受け止めながら、できることをやっていくしかない」

Q.最初に室伏選手と室伏コーチから。
室伏 ちょうど1週間くらい前に、練習中にケガをしてしまいました。転倒によるヒジの打撲です。投げている最中の転倒で、かなり強く打ってしまい、薬指のききがよくなくて、土曜日に投てき練習をしようとしたときに、ハンマーを投げるのが厳しい状態でした。コーチを通じて陸連・澤木監督に、どういう状態になるかわからないと、報告しました。
(出場や記録的な部分は)今後どのくらい回復するかにかかっています。現時点では思ったより回復しています。今日の練習でチェックをしたい。出場することを目標に、調整しています。
室伏コーチ ひじは1週間前のケガですが、プラハ(6月29日)とギリシャ(7月6日)の試合のあと、かなり疲れのある状態でした。目のものむらいもかなり腫れている状態でしたから。疲れが抜けないまま、トレーニングをしている状態でした。それで7月の終わりに、ひじよりも大切な腰を痛めてしまい、MRIの検査で内出血の疑いもあったくらいです。結果的には内出血はなかったのですが、全治3週間と言われました。それも、実際は治りが早くて、2週間くらいで普通のトレーニングができるまでになりました。
 そして1週間もしないうちにひじを負傷しましたから、この1カ月弱の練習があまりできていません。投てき練習も、スピードのある練習も、重い物を持つような練習もです。現時点では全力の投てきはできていません。今日の練習で投げてみて、試合でどれだけできそうなのかを見たいと思います。本人も全力の投てきができるか、まったくわからない状態です。万全の準備ができずにここまで来てしまいましたが、やるからにはできる中で、ベストを尽くしたい。
Q.現時点での痛み具合というのは?
室伏 月・火と練習して来ましたが、思ったより回復してきましたが、実際の痛みは投げてみないと何とも言えません。
室伏コーチ 痛みと言うより、回転してスピードを上げて振り切るところで、ひじから手先にかけて(と反対の手で腕の部分を指し示し)影響が出ます(力が思うように入れられない、というニュアンスか)。
Q.ハンマーを投げる練習は、日本でできたのですか?
室伏 ケガをした翌日はハンマーを持つこともできませんでしたが、月・火は(全力ではないが)投げられました。
Q.それまで、いい感じで来ていて、今回の試練を、どう受け止めましたか。
室伏 こういったものを、どう受け止められるかが大事だと思います。前向きに、今後の競技人生を考えつつ、(試練を)避けるというのでなく、しっかり受け止めながら、できることをやっていくしかないと思っています。周りのサポートも受けながら、なんとか乗り切りたい。
Q.具体的な治療法は?
室伏 レントゲンを撮りまして、かなりの打撲だとわかりました。多少は腫れてもいました。しかし、筋肉の打撲ですから、時間の経過が解決する類のケガです。
Q.ケガをした、そのときの心境は?
室伏 そのときは、これは大変だなと思いました。その日の練習は中止して、次の日にどのくらい、またその次の日にどのくらい、自分にどれだけできるかを確かめていこうと思いました。
Q.84mを室伏さんの他に2人が投げてきたことへの、焦りがあった?
室伏 焦りは特になかったですね。ただ、84mというのは大変な記録で、世界選手権前に3人が84m台を投げたことなど、過去にないこと。大変な試合になるなあと。自分は決して抜きん出た存在ではなく、横一線だと思っていました。そういう状況の試合ができることを楽しみにしていたし、是非、やってみたいと思っていました。
Q.今後の競技人生を考えてということは、今日の練習次第では無理に出場せずに、やめる判断もあり得ると?
室伏 監督やコーチと相談して、決めたいと思います。
Q.昨日、本番のサークルを下見されて、どう感じましたか。
室伏 サークルについてもですが、自分がいつも心配しているのは、ハンマー投が危険だというイメージが、世界的にもあることです。安全面を考えたらサークルもそうですが、特に防具ネットの位置ですね。ルールにも問題があります。(投げる範囲が狭くなる)ルールが変わっても、危険性は増していると思います。実際、トラックに投げてしまう選手は多くなっていますね。(昨日は)安全面を気にしました。
Q.今日の練習で、全力で投げることに恐怖感は?
室伏 自分自身を追いやるようなことはしないというか、(そういう気持ちが)働かないようにしないといけません。それは、自分自身の動きに対する自信といったものでしょう。
Q.勝負に対する意識は変わりましたか?
室伏 自分のできることをやることに、尽きると思います。


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