2003/7/11 
ハンマー投歴代11傑選手の個人10傑平均を調査
室伏はゲチェックを抜き、タムにも肉薄

記録 10傑平均 選手 年月日
86.74 @85.642 セディフ 1986/8/30 ロシア
86.04 A84.898 リトビノフ 1986/7/3 ロシア
84.86 E83.171 室伏広治 2003/6/29 日本
84.62 B83.560 アスタプコヴィッチ 1992/6/6 ベラルーシ
84.48 D83.186 ニクリン 1990/7/12 ロシア
84.40 C83.512 タム 1984/9/9 エストニア
83.68 G82.503 ゲチェック 1998/9/19 ハンガリー
83.46 F82.906 アブドゥヴァリエフ 1990/5/26 タジキスタン・ウズベキスタン
83.43   ザゴルニー 2002/2/10 ロシア
83.39 H82.438 アヌシュ 2001/6/9 ハンガリー
83.38 I81.270 ジオルコフスキ 2001/8/5 ポーランド
2003/7/6時点

 室伏広治(ミズノ)が6月29日に84m86の大記録をプラハでマークした。それまでの自己記録は2001年に投げた83m47。一気に1m39も更新し、世界歴代7位から3位へ。アスタプコヴィッチ、ニクリン、タム、ゲチェックといった錚々たる面々をごぼう抜きしたのである。
 ニクリンとタムは旧ソ連の選手で、セディフ&リトビノフと同時代だったためタイトルもなく、目立ちはしなかったが、83〜84mをコンスタントに投げていた印象があった。アスタプコヴィッチとアブドゥヴァリエフも旧ソ連の選手だが、CIS、各共和国の独立というソ連崩壊を経験し、記録的にはセディフ&リトビノフの域まで行かなかったが、2人の跡を継いだ格好に。大試合に滅法強いアブドゥヴァリエフと、記録は出すが大試合に弱いアスタプコヴィッチという特徴があった。ゲチェックは唯一の“ソ連以外”の選手で、昨年38歳で引退したが、長期間に渡ってトップレベルを維持した選手。
 室伏が84m86を投げたとき、個人10傑平均ではまだ、アスタプコヴィッチ、ニクリン、タム、ゲチェックの4人は抜いていないと直感的に思った。アブドゥヴァリエフは抜いているだろうが…。だが、今季に入って82m後半から83m台を3試合で出しているので、もしかすると上記4人の誰かを抜いているかもしれない、と思って歴代11傑選手までの個人10番目までのパフォーマンスを調べてみた。歴代10位のザゴルニーはトップレベルになって日が浅いため、調べきれなかった。
 その結果、ゲチェックを抜いていることが判明。ニクリンにも1.5cm差と肉薄しており、タム&アスタプコヴィッチともそれほど大きな差はない。この3人を今後1〜2年で抜く可能性は大きい。つまり、個人10傑平均でも世界歴代3位となるということだ。
 アスタプコヴィッチ、ニクリン、タム、ゲチェックといったら、かつては日本選手とは“別世界の住人”と思っていた選手たち。改めて室伏のすごさを思い知らされた。


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