2003/7/19 日本陸連男子短距離&ハードル合宿
朝原&為末がヨーロッパ遠征を自己分析
「見かけの記録は悪いが……僕としては好印象」(朝原)
「スイッチを入れられれば、1〜2秒は速くなる感覚はある」(為末)

 男子短距離&ハードルの世界選手権代表合宿が7月18日から21日まで、東海大で行われた。2日目の19日には練習が公開され、量的に追い込んだメニューではなかったが、バトンパスなども精力的に行なっていた。
 練習の合間に朝原宣治(大阪ガス)、為末大(同)、末續慎吾(ミズノ)の3人が記者会見に応じ、朝原と為末がヨーロッパでの不調の原因を自身の口で明かした。その要旨は以下の通り。

朝原ヨーロッパ遠征成績
6月24日:C10.36(予選2組・±0)SGPトリカラ(ギリシャ)
6月29日:D10.26(−0.1・※予選10.35=−1.0)GPUプラハ(チェコ)
7月7日:D10.29(±0・予選2組B10.37=−0.5)GPUザグレブ(クロアチア)


朝原宣治
「見かけの記録は悪いが、レース展開はそれぞれで違って、各レースからいいところを取り出してつなぎ合わせられれば、いい走りになると感じた。僕としては好印象。
 日本選手権のときはまだ、どこが悪いのかわからなかったが、ヨーロッパで3試合してみて悪いところがわかった。(加速部分で昨年は意識してある程度できていたところが)崩れていて、重心が後ろに残ってしまっていた。60m付近で戻るのだが、少し残ったままフィニッシュまで行ってしまっていた。60mから再加速しないといけないような走り。
 ヨーロッパであと2試合出られれば、もっとよくなったと思う。ウェイティングで走れるチャンスを待ったが、春先が悪かったし、(ヨーロッパ)第一戦のトリカラもよくなくて、出場することができなかった。
 その辺の課題克服には、試合がもうちょっと欲しい。南部記念と富士北麓の記録会(8月3日)を走った後も、うまく合う試合が向こうにあれば出場したい。ただ、あまり本番に近すぎてもよくない。
 もしかしたら最後の世界選手権になるかもしれないので、悔いを残したくない。本番になったら“こうかな、ああかな”と迷うことにならないよう、腹を決められるように、冷静に臨みたい」

為末ヨーロッパ遠征成績
6月24日:G49.78 SGPトリカラ(ギリシャ)
6月29日:D49.81 GPUプラハ(チェコ)
7月7日:F49.85 GPUザグレブ(クロアチア)


為末大
「正直な話、ものすごく計算外の結果。走りとしては48秒5くらいの感じなのに、実際は49秒8が3回連続してしまった。走るのがよくて、ハードルを跳ぶとダメなので、スイッチがおかしくなっていると思う。
 スプリントにこだわりすぎて、体幹を固めすぎている。根元(ねもと)部分も動かすようにすればストライドが出るのに、体幹を固めることでそれができなくなっているのかもしれない。昨年までは、腰がローリングしても、結果的にストライドが伸びて推進力になっていた。今は感覚の違うタイヤをつけているようで、エンジンが大きくなったのに非効率的になってしまい、力が8〜9割しか地面に伝わっていないようだ。それで最後に疲れが出て、失速率が大きくなるのだと思う。
 そうなったのは、アメリカに行って急激に走りを変えたせいかも。これまでの走りを踏まえて、その上に新しい走りを乗せてコントロールできればよかったが、全てを捨ててアメリカ式のスプリントをやってしまった。それをやるのであれば、4〜5年間のスパンが必要だった。認めたくはないが、(腰の動きに関しては)元に戻すのに近いことをやるかもしれない。実際、帰国しての練習中に、その動きができたことがあって、100 mを少ないストライドで走りきることができた。
 (レースでできるか)難しいが、1歩目からその動きができれば、ゴールまでそれができる。頭がそういうものだと感じられるように、スイッチを入れられるかどうか。練習自体は積めているし、練習中の300mや400 mは、2年前と同じタイムでいけている。スイッチを入れられれば、1〜2秒は速くなる感覚はある」


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