2003/4/29
女子円盤投で山口が55m15の日本歴代4位!!
土江が10秒23のB標準、杉林と石倉は2度目の突破
織田幹雄記念国際全体的な記事
仕入れたちょっとした情報を盛り込みつつ

 この日、風が影響したのは確かだった。気温は20℃前後と問題なかったが、風が午後になると2m前後となり、15時を過ぎると3m、4mとさらに強くなっていった。
 女子走幅跳は花岡麻帆(Office24)が6m53(+2.3)で優勝。それほど風の恩恵を受けたわけではないが、1回目にはファウルだったが6m80の距離は出ていたという。7mジャンパーのトンプソン(豪)を抑えた。走幅跳ではシーズン初戦の池田久美子(スズキ)は、6m37(+0.6)で3位。正直、もう少し期待はあったが、昨年のシーズンベストに4cmと迫ったし、川本先生の日記によれば、「いい感じでいけている」とのこと。

 この日、最も風の恩恵を受けたと思われるのが女子円盤投。2投目に山口智子(呉市陸協)が53m14と自己記録を62cm更新。日本歴代6位だが、従来の山口のベストも歴代6位だったので、表面的な順位は変わらず。しかし、これはほんの序章に過ぎなかった。日本記録保持者・室伏由佳(ミズノ)とのすさまじい投げ合いが待っていた。
 試技順が1つあとの室伏が同じ2投目に53m12と2cm差に迫ると、試技順が1つ先になった4投目に53m39と逆転。しかし、直後に山口は54m46と日本歴代4位の快記録で逆転。6投目に室伏が54m98で再度逆転すると、最終投てき者の山口は55m15。日本歴代順位は4位のままだが、記念すべき大会を優勝で飾ることに成功した。山口にとっては絶好の向かい風だったようだ。
 なお、前日本歴代4位記録の53m67を持つ池田理恵(県南陸協)は昨年、48m47がベストと低迷していたが、今大会で昨年のシーズンベストを上回る49m15を投げて3位に。また、高校生の林田真那美(口加高)が46m53と、高校歴代14位で6位に入った。

 先に、フィールド種目に触れておくと、男子走幅跳は6回目に荒川大輔(同大4年)が7m83(+1.1)で逆転優勝。田川茂(ミズノ)が7m79(−0.2)で2位。MTCサイトの記事にあるように、昨年後半からの復調気配は持続している。が、逆転されたあとの6回目をパスしているし、トレーナールームでの治療の様子を見ると、若干の不安が残った。男女の走幅跳は例年の静岡国際で好記録が出ているときのようには、風がプラスに働いたとは思えなかった。

 男子三段跳は今季すでに16m64の日本歴代9位、学生歴代5位を記録している石川和義(筑波大3年)が1回目に16m28(−1.6)でリード。しかし、このときに負傷して2回目以降を棄権してしまった。4回目にマーフィー(豪)が16m59(+2.7)でトップに立ったが、5回目に杉林孝法(ミキハウス)が16m72(+3.2)で逆転。6回目に16m80(+1.5)と、昨年の南部記念に続いての世界選手権B標準突破を果たした。6回目が追い風参考とならなかったのは、ラッキーと言えばラッキーか。
 南部記念、織田記念と三段跳金メダリストの名前を冠した大会で記録をだすのはさすがだが、前半3回の記録が15m79(−0.2)とスロースターターぶりは相変わらず。前半で記録を残す必要のある国際大会を考えると、課題が残った。

 男子110 mH・100 m、女子100 mの予選が行われた。110 mH前日本記録保持者の谷川聡(ミズノ)はレース前から若干の違和感があり、6〜7台目で途中棄権。
 100 mでは朝原宣治(大阪ガス)が1組トップとなったが、後続との差は僅かで、若干の重さが感じられた。一方、3組トップの石倉一希(島根大)にはキレが感じられた。全体としては順当な顔触れがA決勝に残ったが、小島・北村・馬塚・相川・大前の早大勢(含むOB)がいまひとつ。その中で、最年長の土江寛裕(富士通)だけが元気がよかった。

 女子1500mはあまりのスローペースに高校生の有馬美香(県西宮高)が、業を煮やしてレースを引っ張る。ラスト勝負は松島朋子(UFJ銀行)が制した。高校生のモンビ(青森山田高)が4位に入ったが、このスローペースをどう感じただろう。

 男女の400 mはタイムレースで行われた。女子は吉田真希子(FSGカレッジリーグ)が54秒20、男子は冨樫英雄(東海大)が47秒11で制したが、記録は低調。バックストレートが向かい風だったのが原因で、風の影響が悪い方向に出たのが400 mだった。
 吉田は200 mを○秒○で通過(メモを見ればわかるんですが)。300mでは吉田が学生記録保持者の木田真有(福島大)を5〜8mくらいリード。差は、それほどつまらずにフィニッシュした。木田は55秒03で、2人の差が0.83秒もついたのは久しぶりではないかと思ったが、当人たちに話を聞くと、そうでもないとのこと。女子400 mに関しても、川本先生の日記を参照。
 男子は、ラストの直線に奥迫政之(ミキハウス)がトップで入ったが、1つ外側の田端健児(ミズノ)が逆転したかしないかのところで、さらに2レーン外側の冨樫が前に出て優勝。いったん勢いがなくなっていた山口有希(東海大2年)が盛り返して田端をかわした。

 女子100 mは鈴木亜弓(スズキ)が好スタートを切ったが、本人に言わせると「予選の方がよかった」とのこと。中盤で坂上香織(ミキハウス)が前に出て、終盤で新井初佳(ピップフジモト)が追い込んで逆転したかと思ったところがフィニッシュライン。僅かに坂上が逃げ切った。終盤で鈴木を逆転した松本真理子(福島大TC)が3位。

 男子100 mは、ここまで横一線も珍しいというレース。さしずめ、フラット8と表現した記者もいたほど。優勝したフレイター(ジャマイカ)が10秒21(+2.0)で8位の田島宣弘(日体大)が10秒36。日本人ワンツーは土江・石倉の島根県出身コンビで、土江は3年ぶりの自己新で日本歴代13位に。世界選手権B標準を突破した。

 女子5000mは山中美和子(ダイハツ)が欠場。渋井陽子(三井住友海上)が引っ張る距離が長かったが、最後は地元デオデオの藤井裕美と大越一恵(ダイハツ)の一騎打ちに。藤井が競り勝って15分32秒97。渋井がラスト2周で10秒以上差をつけられたのが気になった。男子5000mはJ・マイナ(アラコ)が13分25秒95で優勝。3位のカリウキ(滋賀学園高)が13分31秒75と留学生選手歴代2位の快記録。日本勢では佐藤敦之(中国電力)が逃げたが、残り200 mを切って地元出身の徳本一善(日清食品)が逆転。13分38秒14の自己新記録で6位。

※コメントなどもまじえた記事は陸マガ6月号に

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