2003/4/16
日本陸連強化委員会と記者クラブとの懇談会
短距離・ハードル編
「100 mか200 mで1人はファイナリストに」(高野部長)
「為末は500mで2001年のヨーロッパ遠征前と同じタイム」(大森部長)
「何としても4×100 mRで43秒台を。そのためならアジアGPにも」(川本部長)

 4月16日、日本陸連は春季サーキットに関する記者発表を行なった後、強化委員会と記者クラブの懇談会を実施。強化委員会各ブロックの部長から、今季への抱負、春季サーキットの見どころなどの説明があった。以下にその抜粋を紹介する(一部、専門誌などで既報部分などは省略)。

高野進・男子短距離部長
「自分の現役時代、(91〜92年の)東京世界選手権、バルセロナ五輪で結果を出した。同様に今年の世界選手権、来年のアテネ五輪で(今の日本短距離ブロックの)結果を出したい。
 4×100 mRは9割通す練習も行い、39秒台前半が出ている。(本番で)1秒は短縮できそう。4×400 mRは選手側から切磋琢磨する合宿の希望があり、平塚や沖縄で合宿を実施してきた。400 m勢はこれからスピードを上げていく。田端健児(ミズノ)、小坂田淳(大阪ガス)、山村貴彦(富士通)がケガなく引っ張っている。
 目標は4×100 mRと4×400 mRで、(アテネ五輪参加資格となる)世界のベスト16が安泰となる記録を残すこと。個人では、100 mか200 mのどちらかで、1人は世界選手権のファイナリストになること。400 mは最低でも1人は、準決勝に残ること。
 末續は昨年の春、気合いを入れすぎて息切れした。気がゆるんで捻挫もした。今年はスロースタートにして、日本選手権あたりから上げていき、世界選手権にピークを合わせたい。ミズノトラッククラブとも話し合って、今年は100 m・200 mともにチャレンジしようと思っている」

大森重宜・男女ハードル部長
※欠席のため文章が代読された
「110 mHの内藤真人、谷川聡、田野中輔は2月に上海で、劉翔と合宿し、アジア人としてのハードリングという部分を確認した。400 mHの為末大はサンフランシスコでウクライナ人のレミ・コーチから指導を受け、スプリント能力の向上を目的に頑張っている。練習仲間に世界選手権入賞者もいて刺激になっている。
 為末からは次のようなメールが来ている。『相変わらず気むずかしいコーチですが、お互いに理解して上手くやっています。先々週、500mで63秒が出て、これは2001年のヨーロッパ遠征前と同じタイム。(中略)マウントサックに出た後、帰国して400 mHは大阪GPから出場を予定しています(400 mで織田記念と水戸国際に出場予定)』
 吉沢(賢・デサントTC)は小坂田と合同練習をするなどしているが、脚が若干よくなくて、スロースタートで日本選手権での自己新を狙っている。
 金沢イボンヌはアキレス腱痛もあったが、世界選手権へ向けて積極的。3月29日はすでに、13秒33で走っている。森本明子と茂木智子も、沖縄合宿で順調だった。
 女子400 mHは吉田真希子が長距離選手並の走り込みを行い、筋持久力に裏打ちされた走りを見せてくれそう」

川本和久・女子短距離部長
「400 mHとも合同で2度、合宿を行った。1回目は12月にクリスマス返上で。2回目は3月に沖縄でスピード練習を。
 ショートスプリントは坂上香織、新井初佳ともに元気で、それぞれB標準突破を目指して引っ張っている。水戸国際と大阪GPで4×100 mRを行う。そのため、織田記念と静岡国際の間に静岡でリレー合宿を組む。さらに、5月28日のアジアGP(ハイデラバード・インド)でも記録を狙っていく。日本選手権が近いが、選手がみんな、是非行きたいと言ってくれた。何としても43秒台を出したい。
 ロングスプリントはマウントサックへの遠征が中止になり、出鼻をくじかれた。いきなり日本新を出してアピールする目論見が崩れた。個々のレースでは吉田真希子、木田真有を中心に、52秒台、53秒台を確実に走れる選手を輩出したい。マイルリレーでもしも世界選手権がダメなら、アジア選手権で3分31秒台を狙う(日本記録は3分33秒06)。
 信岡沙希重がドイツで順調にトレーニングできた。静岡国際の200 mは期待できると思う。200 mの選手層がやや薄いが、4×100 mRのためにも200 mで力走してほしい」


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