2003/4/20
六甲中距離ストーリーA
高卒ルーキー三津谷が1500mで2位!

@一見、凡レースだった男子1500mだが…

 男子1500mの2位には高卒ルーキーの三津谷祐(トヨタ自動車九州)が入った。3分46秒80と、昨年のインターハイで3位(日本人トップ)のときに出した3分48秒42の自己ベストを早くも更新。三津谷は高校時代に5000mでも14分01秒42(国体6位)を出している選手で、今年2月の千葉国際クロスカントリー・ジュニアの部では、5000m高校記録保持者の土橋啓太(大牟田高→日大)に4秒差で2位になっている。世界クロカンへの遠征は中止となってしまったが、この冬もしっかり練習を積んで、2月半ばからトヨタ自動車九州の練習に合流していた。

 4月には5000mで13分58秒71(熊本中・長距離選抜)と自己新をマーク。これらの好調ぶりを考えてみると、兵庫の1500mのタイムもそれほど不思議ではないのだが、このメンバーで順位が2位というのには、正直驚かされた。全体の記事ですでに紹介しているが、本人も「プログラムを見たら自分の持ちタイム(3分48秒42)は一番下。付いていけるところまで、ガムシャラに付いていこうと思いました。1200mまでは全力で付いていき、ラスト300mは意地で走ろうと。それが、ラスト300mを切ってから思ったより脚が動いて、ラスト200 mから追い上げることができました。記録的には日本選手権の参加標準記録の3分45秒が目標でしたが、2位にはびっくり。ホームストレートで有名選手を抜いていたときには、正直、距離を間違えたかな、と思いました」と話しているほどだ(日本選手権の参加標準記録は3分49秒00)。

 三津谷は高校時代から、ラストの強さが注目されていた選手。5000mの自己新を出した熊本では強い方から2番目の組で、残り1000mで「かなり先頭から後れた」(三津谷)が、ラストで追い込んでトップの小川博之(日清食品)に3秒65差と迫った。「(自己記録に近いレベルで走ったときでも)ラスト1周は58秒台で上がっています。ラストになると自然に、身体が動くんです」と、頼もしいコメントも。
 ただ、本人は中距離よりも長距離指向。「5000mでは13分45秒、1万mでは28分45秒」という数字を今季の目標として挙げた。ライバルの土橋が昨年、高校時代にマークした記録が目安となっている。そして、将来的には「距離を伸ばしてマラソンをやってみたい。監督を上回りたい」と、目を輝かせる。監督とはもちろん、バルセロナ五輪マラソン銀メダリストの森下広一監督のことだ。


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