2003/1/26 大阪国際女子マラソン
好タイム続出の大阪国際女子マラソン記録分析
同一レース、同一国3選手2時間22分突破は世界初!!
優勝の野口が2時間21分18秒=日本歴代2位&国内最高
2位の千葉が2時間21分45秒
3位の坂本は2時間21分51秒=初マラソン日本最高&初マラソン世界歴代2位
4位・キプラガトと5位・小崎は着順別世界最高に肉薄


 大阪国際女子マラソンは日本人3選手が2時間21分台で相次いでフィニッシュ。久しぶりに、鳥肌が立つような感動を覚えた。
 日本最高は1年4カ月前に2時間19分台(2時間19分46秒)に突入しているとはいえ、その時点で日本歴代2位記録は山口衛里(天満屋)の2時間22分12秒。実に2分26秒もの差があった。昨年、渋井陽子(三井住友海上)がシカゴで2時間21分22秒を出したことで溝が埋まり始めたが、渋井以外の選手がそう簡単に2時間21分台を出せるとは思えなかったのだ。
 しかし、選手層が薄いのは世界的な傾向。同一レースで1つの国の3選手が2時間22分未満を出したことは、かつてなかった。過去最多は、オカヨとデレバのケニア2選手が2時間20分43秒と2時間21分12秒を記録した、昨年4月のボストン。だいたい、2001年までは着順2位の世界最高は2時間22分36秒(キプラガト・00年シカゴ)だったのである。
 昨年に入って前述のボストンで2人、10月のシカゴで4人が2時間22分を突破。シカゴ4選手の国籍は4人ともばらばら。今回の快挙となった。

 着順別世界最高の可能性もあると思ったが、4位最高は昨年シカゴの2時間21分31秒、5位最高は昨年ロンドンの2時間23分19秒だった。今大会の4位はキプラガトの2時間22分22秒、5位は小崎まり(ノーリツ)の2時間23分30秒で、ともに着順別世界最高に約10秒と迫っていた。ロンドンとシカゴの5位までが4カ国の選手で構成されていたのに対し、今大会は日本とケニアの2カ国で、5人のうち日本人が4選手。着順別世界最高は出なかったが、価値は今大会の方が明らかに高い。

 久しぶりに“好タイム続出”に感動したレース、日本選手が力を付けたのは間違いない。とはいえ、今回の好記録は条件に恵まれたことも大きい。絶好の気象条件に恵まれ、絶好のペースで集団が進んだ。レース前にここまでの好記録を予想した選手・指導者はいなかった。「これだけの練習ができたから、これだけの記録を出した」と、因果関係がはっきりして出た記録ではないのだ。その辺が、高橋・渋井の記録との、質の違いである。
 とはいえ、海外の賞金マラソンは純粋に記録が狙える環境である。今回の大阪のような選考レースとは、状況が異なる。その点を考慮すれば、両者の価値は近づくと考えることもできる。


大阪国際女子マラソントップ
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