2003/6/5　日本選手権
ＷＥＢ版種目別注目ポイント
男子ハードル編
110 ｍＨ　内藤が優勝候補だが田野中も充実
400 ｍＨ　意地の為末か、好調の千葉か？

■110 ｍＨ
　今季の主要試合の結果を総合すると、現時点でのランキングは内藤真人（ミズノ）・田野中輔（富士通）・谷川聡（ミズノ）の順。内藤が初戦の織田記念以外は水戸国際・大阪ＧＰと勝ち（日本人トップ）、田野中は１位・２位・２位、内藤が欠場した東日本実業団は谷川を抑えて優勝した。
　内藤はダッシュからレース前半のもたつきが目立つ。２年前のシーズン前半を思わせるが、そのシーズンの後半、レース前半がよくなって13秒50の日本記録を出すことができた（他にもよくなった点は多いと思うが）。好調時の前半に戻るのは、今回の日本選手権なのか、それとも、２年前同様海外でのレースを経たシーズン後半か。
　ランキングは２番目だが、選手自身の中での充実度は田野中が一番だろう。織田記念で出した13秒76は、自己記録に0.02秒と迫るタイム。今回も序盤から中盤では、内藤より前にいるのではないか。それを、どこまでフィニッシュ地点に近づけられるか。織田記念では逃げ切ったとはいえ「７台目くらいで内藤が視界に入って、ポンと浮いてしまった」と言うから、終盤でいかに自分をコントロールできるかがポイントか。
　練習は社会人になってから初めて、継続して積めている。大学４年時に踏切脚のハムストリングを肉離れして以降、テーピングなしで試合に出ているのは今季が初めて。それでもまだ、動き的にはケガの前にまで戻り切れていないという。それでも、今季の好調さ。期待度は上がっている。
　アジア大会銀メダリストの谷川は脚に不安があり、織田記念のレースを途中からスピードを緩めている。技術的には成熟しつつあり、自身の理想とする動きに一歩近づけたのが昨年のアジア大会だった。自身の持つ13秒78を上回れば30歳代日本最高だが、目標はそんなレベルではない。
◎世界選手権標準記録突破者
Ｂ：13秒55 内藤真人（ミズノ）

■400 ｍＨ
　為末大（大阪ガス）ただ１人が、世界選手権本番をにらんで調整している。ということで、調子が上がっていないのだが、それでも今季の日本リストは49秒60で１位。大阪ＧＰの最後は千葉佳裕（富士通）に逆転されそうだったが、その追い上げをぎりぎりのところでかわすあたりが為末らしい。昨年同様、日本選手権では48秒台には調子を上げてくるだろう。
　千葉も調子が良さそうに見えるが、意外なことにＢ標準の49秒50を破っていない。日本選手権で優勝すればＡ標準の49秒20も破るだろうから、それほど気にかける必要はないと思われるが。横浜国際競技場は、千葉が２年前に48秒64を出したトラック。国際大会の代表経験では４番手扱いとなるが、現役ではナンバー２の記録を持っているのが千葉なのだ。
　昨年、シーズンを通じて好調だったのが河村英昭。唯一の失敗といえるのが日本選手権で３位と敗れたこと。今年、調子が上がらないのは、４月に入ってから右のふくらはぎを痛めたのが原因。その回復次第か。
　アジア大会代表の吉沢賢（デサントＴＣ）も、今季はいいところがない。
　ハードル間の歩数が前半13歩の為末と吉沢が、14歩の河村と千葉をリードするのは、いつもの通りだろう。前半で確実にリードする為末に、吉沢も大差なくホームストレートに入ってくる。それを追い上げる千葉と河村、というレース展開が全員が好調なら予想されるが…。為末が大阪同様、銅メダリストの意地で逃げ切るか、好調の千葉が逆転するか。
◎世界選手権標準記録突破者
Ａ：48秒69 為末　大（大阪ガス）
　　48秒85 河村英昭（スズキ）
　　48秒98 吉沢　賢（デサントＴＣ）


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