2003/6/4 日本選手権
WEB版種目別注目ポイント
男子中距離&3000mSC編
800 mは笹野vs.森か?
1500mは本命・辻、注目は18歳・三津谷
3000mSCは和製マーシュ待望論

■800 m
 ラスト勝負だったら笹野浩志(富士通)、ハイペースだったら森祥紀(自体学)というのが無難な予想。
 といっても、ハイペースに弱いと思われている選手でも、調子がよければ食らいついてラスト勝負に持ち込める。ラスト勝負では分が悪いと思われている選手でも、余裕度が大きければ勝てるかもしれない。
 今回は日本選手だけの勝負。さすがの森も1人では逃げ切れないだろう、ということで優勝者予想は笹野とした。日本選手権となれば他の自体学の選手のサポートも期待できない。海外だったら、森に分があると思うのだが。
 だが、森がここで勝てば1つ殻を破ったことになり、今後が期待できる。
 笹野も“ラストで勝てばいい”という考えだけではなく、アジアで戦うことを当面の目標としている選手。レースパターンを崩さなくとも、ハイペースのレースを経験していけば自然と記録は上がっていくはずだ。
 2人以外では、ラストに強い中野将春(大塚製薬)、昨年の日本インカレ優勝の鈴木尚人(自体学)、静岡優勝の後藤良徳(大阪教大)らが候補。関東インカレ優勝の斎藤皓亮も注目株。自体学勢が決勝に何人残るのかも注目される。ただ、記録的には望み薄か(などと書かれないような、選手の奮起を期待したい)。

■1500m
 陸マガには
<<辻隼(ヤクルト)が充実してきた。ラストに強い選手だけに、走力が付けば即、勝率も上がる。前半がハイペースとなった兵庫でもきっちり優勝した。昨年3分39秒台、日本選手権2連勝中の小林史和(NTN)が、どう出てくるか。兵庫では残り300mからスパートして、最後まで持たなかった。
 3年前の選手権者の木實淳治(八千代工業)、3月の陸連合宿で好調だった小林哲也(福田組)も侮れない。若手では昨年の日本インカレを1年生ながら制した田子康宏(立命大)、兵庫2位の三津谷祐(トヨタ自動車九州)が注目選手>>
 と書いた。その後の動向では三津谷が九州実業団で1500mと5000mの2冠となっている。現時点では5000mはジュニアの域を出ていないので、可能性があるのは1500m。そう簡単には勝てないと思うが、ひょっとするとひょっとするかも。田子がどのくらいのペースで飛ばすのかも注目ポイント、というかレースの帰趨を左右する部分かも。
 それにしても、今年の男子中距離は盛り上がりに欠けている。小野友誠や佐藤清治で盛り上がったのは、つい数年前である。ごつい体格をしていた2人が懐かしい。
※徳本一善(日清食品)が1万mではなく1500mに出場するという情報もあるが、公式の記者発表資料では5000m・1万mになっているので、そちらに拠った。

■3000mSC
 優勝記録がB標準の8分30秒30を上回るかどうか、が焦点。前回、日本選手権一発突破の岩水嘉孝(トヨタ自動車)が、その再現を狙う。ゴールデンゲームズ5000mでは残り1周で高校生の上野裕一郎(佐久長聖高)に抜かれてしまったが、さりとて、5000m・1万mの走力から見て、標準突破を期待できるのは岩水くらいしかいない。
 詳しい論拠は書かないが3000mSCは、400 mHが世界で通用しているように、中・長距離のフラット種目よりも世界に近いような気がする。「5000m・1万mで通用しない選手がやる種目」とか、「駅伝に役立たない種目」という風潮がなくなれば、世界レベルも夢ではないと思う。
 だが、特に駅伝との兼ね合いは社会的な部分でもあるので、一朝一夕には変わらない。岩水もいずれ、マラソンに進出する予定だという。その点、内冨恭則(中国電力)はこの種目を走り続けるはず。内冨が気迫を持ち続ければ、日本のヘンリー・マーシュ(米)になれる(マーシュは1985年に31歳で8分09秒17の全米記録。ケニア選手のなかで孤軍奮闘した白人選手)。つまり、岩水にだって勝てるし、記録だってまだ伸ばせる。そう思って頑張って欲しい。
 若手にも芽が育ち始めている。関川佳男(日産自動車)は兵庫リレーカーニバル・静岡国際と8分43秒台の自己新。優勝した東日本実業団は8分40秒31まで記録を縮めた。5000mはやっと13分台が出たが、まだまだ伸ばせるはず。横浜国大出身。日本のマーシュとなるのは、関川かもしれない。
 関東インカレ優勝の篠浦辰徳(早大)や中川友博(京産大)ら学生でも8分40秒台前半は出せるようになった。優勝記録が8分35秒前後ってことはないだろう。


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