2003/6/8 日本選手権
最終日全種目の懺悔とちょっと戦評。一部は記事に近いか? 女子フィールド
注目の走高跳はB標準の今井が優勝して代表に
ハンマー投の田中は59m89の日本歴代4位&既婚選手日本最高

女子走高跳
 優勝者予想は今井美希(ミズノ)で的中したが、優勝記録となった1m92は3回目のクリアという危ない橋を渡った。1m89は青山幸(WWA)が成功したのに対し、今井はパスをしていたのだ。1m95以上にバーが上がったときに備えて跳躍回数を抑えたのか、単に調子がよかったと感じていたのか――競技後に話を聞くと、後者のようだった。
「(A標準の)1m95が目標でしたが、昨晩の先生(阪本孝男氏)とのミーティングで、1m97に変更しました。調子がよかったこともありますが、昨日の女子の走幅跳を見て、“攻めていかいないといけない”と思いました。95を目標とすること自体、守りに入っていると」
 1m92の3回目は、攻めの気持ちが上手く作用した。
「上手くやれると信じ切っていました。自分の技術に絶対の自信がありましたから」
 そこで優勝は決定したが、肝心のA標準1m95となると、その技術が狂った。
「頑張りすぎてしまって、助走の前半ですごく押せてしまうんです。第2マークもすごく越してしまって、踏み切り位置も(バーに)近くなっていたと思います。そこがしっかりできていれば、やや右上を目指して上がっていけるのですが、近くなると左に逃げて、流れていってしまいます」
 結局、A標準を越えることができず、その場での世界選手権代表内定とはならなかったが、A標準突破のハニカット陽子(ミキハウス)が記録なしに終わったこともあり、翌日の陸連理事会・評議員会で今井の3大会連続代表が決定した。ハニカットが代表入りするには、今井がA標準を記録することが前提。選考会である春季サーキットの静岡国際で2位(1m89)となっているので、前提条件がクリアされればハニカットを選ぶことも可能だが、さすがに日本選手権入賞漏れはマイナス要素。南部記念あたりでズバッと、A標準以上をクリアすれば、マイナス分を取り返すだけでなく、プラスに変えられるだろう。

女子ハンマー投
 1位・綾真澄(グローバリー)の優勝者予想は的中。2位の室伏由佳(ミズノ)も予想通り。3位には田中千里(SP−HOPE)が59m89の自己新で入った。従来の自己ベストは58m74(昨年の高知国体)で、日本歴代4位は変わらないが、この間に結婚しているので、59m89は既婚選手日本最高記録となる。
 結婚相手は円盤投4位の田中伸宜(陸想会)で、陸マガ7月号の北陸実業団のページ(202頁)でも紹介しているように、社会人7年目で大学卒業後の自己ベストを記録した。夫婦そろって、結婚後に好調なのである。もちろん、結婚すれば誰でも調子が上がるわけではない……が、試しに結婚してみるのも、1つの方法かもしれない。
 参考までに、田中のコメントを聞いているので紹介したい。
「やっぱり、冬期はまったく練習できませんでした。3月に結婚して富山に移ったので、福岡大での仕事の引き継ぎや、結婚準備なんかで。生活もガラリと変わりましたし。
 でも4月5月と練習はできました。去年までのイメージではスピードを生かしたターンができないと判断して、4月の中頃からリズムアップをイメージしたターンに変えました。
 それと、2週間ほど前にドイツの試合に出場して、試合を楽しめるようになりました。投てきだけの試合でしたが、観客も楽しんで、選手もそれに応えて…。雰囲気が違いました。その経験があったせいか、今日は不思議と緊張しなくて、記録や順位も気にせず、試合をすることを楽しめたと思うんです。それで自己ベストが出ました」


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