2003/4/22
競歩の選考会が全て終了
藤野原と今村が世界選手権代表に
今村は7回連続代表の金字塔

 4月20日の日本選手権50kmW・全日本競歩輪島大会をもって、今夏の世界選手権競歩種目の代表選考会が全て終了した。選考競技会と、昨年6月に陸連が決定した選考基準は以下の通り。

■選考競技会
アジア大会(02年10月)
全日本50km競歩・山形大会(02年10月)
日本選手権男女20kmW(03年1月)
日本選手権男子50kmW(03年4月)
全日本競歩男女20kmW・輪島大会(03年4月)
■選考基準<競歩種目>
@有効期限内に参加標準記録AまたはBを突破し、第14回アジア競技大会及び第86回日本陸上選手権競歩大会で優勝した競技者を代表選手とする。
A有効期限内に参加標準記録Aを突破し、第86回または第87回日本陸上選手権競歩大会で優勝した競技者を代表選手とする。
B有効期限内に参加標準記録Aを突破した競技者がいない種目で、標準記録Bを突破し、第86回または第87回日本陸上選手権競歩大会で優勝した競技者を代表とする。
C上記@〜B以外の代表選手は、理事会・評議員会において、有効期限内に参加標準記録を突破した競技者のなかから、選考競技会の結果で選考される。
※日本選手権競歩
第86回=男子50kmWは2002年4月に輪島開催、男女20kmWは2003年1月に神戸開催
第87回=男子50kmWは2003年4月に輪島開催、男女20kmWは2004年1月に神戸開催

 男子50kmWは今村文男(富士通)が選考基準Aに該当し、世界選手権7回連続代表に内定。男子20kmWは藤野原稔人(三栄管理興業)が基準Aに該当して代表内定。女子20kmWは選考基準を満たす選手が現れず、Cにあるように6月の理事会・評議員会に持ち越された。
 A標準突破者が1人しかいない男子50kmWの2人目の代表選出はあり得ないが、男子20kmWはA標準突破者が藤野原を含め6人。2人目と、3人目に誰が選ばれるかは、6月の理事会・評議員会に持ち越された。

どうなる代表選考?
男子20kmWの2・3人目は大混戦
女子20kmWは代表内定条件クリア選手ゼロ


 女子20kmWは唯一のA標準突破者である照井貴子(サニーマート)が、今年に入って選考会で途中棄権(日本選手権)、失格(輪島)と崩れたことに加え、照井の他にA標準突破者が出ず、選考基準該当者なしの状態に。該当者なしということは、記録的に結果を残している選手が、勝つべき試合で結果を残せなかったということ。全体の代表人数枠や他種目との兼ね合いによっては、代表なしということもあり得る(個人的には、代表人数の全体枠はなくすべきだと思っているが)。

 注目度が大きいのは男子20kmWの2人目と3人目だ。選考会の戦績と、選考会以外での標準機録突破を表にまとめてみた。エドモントン・パリのマラソン選考と同様の方法を採るなら、2人目は輪島にA標準突破記録で優勝した松崎彰徳(東洋大)ということになるが、マラソンと同じ方法にするとは陸連は明言していない。選考レース全部を加味して考えるとなると、松崎は日本選手権で途中棄権しているのがマイナス点。
 一般種目のように日本選手権を重視する選考方法を採るなら、日本選手権2位の山崎勇喜(順大)が浮上するが、一般種目と同じように日本選手権を重視するとは、陸連は明言していない。選考レース全部を加味して考えるとなると、山崎はアジア大会で失格、輪島でも10位と大敗しているのがマイナス点。
 この2人の他では、輪島2位の吉沢永一(長谷川体育施設)、日本選手権・輪島とも3位の谷井孝行(日大)が候補となる。選考会以外の戦績まで加味するなら、吉沢には昨年のアジア選手権優勝、谷井には世界ジュニア7位の実績がある。上述の山崎も世界ジュニア5位になっている。
 国際大会での実績となると柳沢哲(綜合警備保障)が、前回のエドモントン世界選手権7位とピカ一。選考会のアジア大会でも日本人トップの銅メダル(日本選手は2人しか出ていないが)。輪島で8位と大敗したが、スタート直後にシューズが脱げるアクシデントがあった。

アジア大会
順位 記録 氏名 所属 備 考
3 1.25.33. 柳沢 哲 綜合警備保障
dq 失格 山崎 勇喜 順 大
日本選手権
順位 記録 氏名 所属 備 考
1 1.20.31. 藤野原稔人 三栄管理興業 A標準
2 1.20.38. 山崎 勇喜 順 大 A標準、学生最高、ジュニア日本最高
3 1.20.45. 谷井 孝行 日 大 A標準
4 1.23.35. 谷内 雄亮 金沢アスリー B標準
5 1.23.57. 高田 浩二 明 大 B標準
途中棄権 柳沢 哲 綜合警備保障
途中棄権 吉沢 永一 明 大
途中棄権 松崎 彰徳 東洋大
全日本競歩輪島大会
順位 記録 氏名 所属 備 考
1 1:20:46 松崎  彰徳 東洋大 A標準
2 1:21:36 吉澤  永一 長谷川体育施設 A標準
3 1:22:05 谷井  孝行 日大 A標準
4 1:22:59 谷内  雄亮 石川陸協 B標準
5 1:24:23 杉本  明洋 京大
6 1:24:45 金  東 泳 KOREA
7 1:24:53 高田  浩二 明大
8 1:25:10 柳澤   哲 綜合警備保障
9 1:25:23 大越  洋志 城西大
10 1:26:30 山崎  勇喜 順大
途中棄権 吾妻  武昭 岩手大
欠場 藤野原 稔人 三水テクノ
選考会以外での標準記録突破
記録 氏名 所属 備 考 大会 順位 場所 年月日
1.20.43. 山崎 勇喜 富山商高 A標準 日本選手権 1 神戸 2002/1/27
1.20.57. 柳沢 哲 綜合警備保障 A標準 日本選手権 2 神戸 2002/1/27
1.21.31. 柳沢 哲 綜合警備保障 A標準 国際グランプリ競歩 2 アイゼンヒュッテンシュタット 2002/6/2
1.21.56. 吉沢 永一 明 大 A標準 全日本競歩輪島 1 輪島 2002/4/14
1.22.21. 吉沢 永一 明 大 A標準 国際グランプリ競歩 5 アイゼンヒュッテンシュタット 2002/6/2
1.22.21. 松崎 彰徳 東洋大 A標準 高畠競歩 1 高畠 2002/10/27
1.24.21. 藤野原稔人 三栄管理興業 B標準 日本選手権 4 神戸 2002/1/27
1.24.23. 谷井 孝行 日 大 B標準 全日本競歩輪島 3 輪島 2002/4/14
1.24.27. 谷井 孝行 日 大 B標準 日本選手権 5 神戸 2002/1/27

 こう見てくると、2人目と3人目の代表は1人として、決定的と言える選手はいない。A標準突破者6人は全種目を通じて最多人数。前回7位入賞の実績もあるし、1月の強化委員会で重点強化種目にも指定されている。代表は3人選ばれると思われるが…。
 マラソンも同様だが、選考レースが複数で有力候補選手が多いと、どうしても、今回の男子20kmWのように選考が難しい状況になってしまう。候補選手が限られている種目と、候補選手が多い種目では、代表選考方法も変わってきていいように感じるのだが。


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