2003/10/27 NEW!! わかふじ国体 2日目
2日目ダイジェスト

■女子棒高跳で南野が4m10の日本歴代3位・ジュニア日本新・高校新
 2日目の記録的な収穫は女子棒高跳だった。少年共通女子で南野弥生(北海道・札幌手稲高)が4m10の日本歴代3位・ジュニア日本新・高校新に成功。2位の仲田愛(広島・福富中)も3m70の中学新を記録したのである。
 6月の日本ジュニア選手権で3m90のジュニア日本新・高校新をマークしている南野は、3m50・60・70・80を1回でクリア。3m90の自己タイは2回目の成功。自己新となる4m00は2回失敗後に、3回目でクリアした。4m10の日本歴代3位も2回失敗後の3回目に成功。札幌手稲高の先輩である小野真澄(札幌陸協)の持つ4m21の日本記録にバーを上げたが、さすがにこれは跳べなかった。

南野コメント
「4m00が目標で、跳べなかったら北海道に帰れないくらいの気持ちでいました。しかし4m10は跳べると思っていませんでしたから、夢じゃないかと。もちろん4m21もまったく考えていませんでしたが、21の2回目に感じをつかむことができたので、次からは21を目標にできます。
 最近は振り上げ角度を中心に練習していて、それが上手くできました。短いポールのうちは上手くいくのですが、長くなると振り上がる途中で体が反転してしまいます。その修正をする練習です。
 こちらに来てからも調子がよく、今年一番といえるものでした。日本ジュニアよりも硬いポールを使えました。今日は13.12(13フィート12インチ)で135ポンドのポール。握りは3m90も4m00も一緒でした。
 関東の大学を受験しますが、環境が変わって跳べなくなることのないようにしたい。頑張れば、来年の世界ジュニアにも行けるかもしれませんので」

■川畑が3回目のB標準、宮田は8回目の10秒4台
 アテネ五輪の標準記録Bを突破したのは成年男子100 mの川畑伸吾(群馬・群馬綜合ガードシステム)。B標準突破は3回目だが、今回の10秒25(+1.0)はシーズンベスト。2位の石倉一希(島根大)に0.12秒差をつけたのは、現在の好調さを物語っていた。
 3位から5位までが0.02秒差の接戦。10秒45で5位の宮田貴志(福島・福島大TC)はなんと、今季8回目の10秒4台だった。それも40・41・42・43・45・47・49と、44を除けば等差数列で出している徹底ぶり。
「今年は世界選手権があって、なんとかと思っていましたが、今の自分の力でははまだ届かなかったということ。ただ、シーズンを通してケガなく主要大会に出られたのは初めてのことで、それは自信になりました。後半のスピード持続にまだまだ課題はありますが、今日の準決勝・決勝と少しはよくなってきました」
 確かに、タイムとしては10秒4台が続いているが、レース内容を他の選手と相対的に見た場合でも、力は上がっている感じがする。“世界レベル”へ、ワンランク上げられるかどうか、宮田も言っていたがこの冬が勝負となる。

■8位まで同記録の珍事と30歳・君野の復活宣言
 成年男子走高跳は優勝した君野貴弘(富山・ゴールドウイン)から8位の江戸祥彦(北海道・東海大)までが2m15の同記録だった。一番の応援を受け、地元のために1点でも取りたかった西島信弘(静岡・大井川高教)と、スーパー陸上で2m25の今季日本最高を飛んでいる真鍋周平(香川・阪大)、今季2m16を跳んでいる秋塚祐也(群馬・筑波大)が2m10で、3人の少数派だった。優勝した君野も、2位の豊嶋茂樹(福岡・三洋信販)も「8位まで同記録は経験したことがない」と、口を揃える。
 写真:表彰台の2m158選手
 単なる偶然と言えなくもないが、ドングリの背比べ状態から誰も抜け出せない、今の日本の走高跳界を象徴している、と言えなくもない。2m30を最後に日本選手がクリアしたのは、君野が2m32の日本記録を跳んだ1993年なのだ。その君野に、「どうしたら日本の走高跳選手が2m30を跳べるか」という質問を、思い切ってぶつけてみた。回答は明快だった。
「僕が跳ぶしかないでしょう」
 君野自身、93年が最後の2m30台となり、その後の年次ベストは以下のように推移している。
94年 2m26
95年 2m24
96年 2m24
97年 2m24
98年 2m25
99年 2m28
00年 2m25
01年 2m22
02年 2m21
03年 2m18
 99年に2m28を跳んでからはじり貧という印象だった。
「95年からずっと踏切脚のアキレス腱を痛めていて、28を跳んだときも、そのときだけ鍼治療で痛みがなかったんです。痛みはあっても、試合になったら跳ぶのが当たり前。それが、仕事なんですから。そして、その痛みも今年の8月に完治しました」
 今年2月に三十路に入った君野。昨年2月に結婚し、今年の1月1日には子供も産まれた。
「僕が跳んでいるビデオを見せると、はしゃいでくれるんです」
 本当に、混戦を抜け出すのは、この男かもしれない。

■少年男子種目で2人の伏兵選手
 少年男子2種目で伏兵選手が優勝した。
 共通400 mHはインターハイ優勝者の鈴木哲平(千葉・成田)、準決勝で今季高校2位となる50秒71を出した岩瀧佑貴(福岡・修猷館)の争いとなると思われていたが、最後、9台目付近からぐいぐい追い上げたのはインターハイ準決勝止まりだった小川敦史(福井・足羽高)。10台目を越えて2人を逆転し、51秒19の自己新記録で優勝した。
 もう1種目はA走幅跳で、インターハイで7m70、7m69、7m67と3cm以内の好勝負を演じた3人、(1位から順に)今井雄紀(栃木・佐野日大高)、品田直宏(北海道・札幌国際情報)、仲元紀清(沖縄・中部商)が“3強”と目されていた。
 ところが、インターハイで4位(7m46と3人からはちょっと差があった)の菅井洋平(群馬・太田工)が7m66とただ1人インターハイレベルの記録を出し、7m40台に終わった3選手を抑えたのである。
 この2種目に関しては別記事にできる取材がしてありますが…。

■静岡勢少年3種目&村上幸史
 2日目、皇后杯争いでトップに立ったのは、地元・静岡だった。1日目の少年A女子砲丸投の美濃部貴衣(静岡・常葉学園橘)に続き、この日は少年A女子400 mHの櫻井里佳(静岡・富士見)が59秒35で優勝、成年女子100 mでは鈴木亜弓(静岡・スズキ)が11秒62(±0)の自己新で2位に入った。
 男子でも少年共通男子800 mで安西アルトゥ(静岡・藤枝明誠)がラスト1周から思い切ってスパートし、1分50秒76で2位に1秒以上の差を付けた。櫻井、安西ともインターハイは3位で、地元国体で大幅に自己記録を更新した。男子では成年やり投の村上幸史(静岡・スズキ)も優勝し、天皇杯でもトップの東京と2.5点差の3位につけている。

■女子5000mで市川優勝、東京が天皇杯をリード
 女子5000mはそれほどハイペースにならず、3600m付近から小崎まり(兵庫・ノーリツ)と市川良子(東京・テレビ朝日)の争いに。最後の直線に入ってスパートした市川が、15分30秒90で優勝した。ラスト1周は66秒6と、日本選手間では随一とも言われる切れを見せつけた。
 優勝は市川の成年女子5000mだけだったが、成年男子やり投の室永豊文(国士大大学院)、少年共通男子800 mの下平芳弘(南多摩)、少年A女子400 mHの滝田皓美(駒場高)、少年B女子砲丸投の宋華麗(東京高)と2日間で2位が4選手。その他、下位入賞も多く総合得点でトップに進出した。


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