2003/10/12 日本選手権リレー&群馬リレーカーニバル
敷島スプリントC
早大、4×100 mRで7連勝の偉業
個人では不振の印象を拭えないが、明るい兆しも

 この1年、OBも含めた早大勢では、土江寛裕(富士通)だけが孤軍奮闘。他の選手はいいところがなかった。高校時代のスター選手が居並ぶ早大現役選手では、日本インカレの決勝に100 mでは1人も進出できず、200 mではやっと5・6位。200 mジュニア記録保持者の大前祐介の故障が響いたが、ユニバーシアードには1人も代表を送れなかったというのは、学生に厳しいことで知られる(年輩の)同大OBでなくとも、奮起を促したくなる結果だ。
 救いは4×100 mRで勝ち続けていること。東海大有利と思われていた日本インカレでは、穴井伸也・北村和也・中川裕介・相川誠也のメンバーで東海大に0.02秒差で優勝。敷島の日本選手権リレーでは、中川・相川・大前・野田浩之で7連勝という快挙を達成した。39秒16と大会記録も更新。

「今年の早稲田は充実していて、(7連覇は)当然という気持ちで臨めました」(中川)
「自分と野田が入れば、10連覇はいけると去年から言われていました」(相川)

 東海大が出ていなかったとはいえ、選手たちはそれなりの自信を持って今大会に臨んでいたわけである。「今回も38秒7あたりを出したかった。つねに東海大の学生記録(38秒57=単独チーム日本最高)は目標にしています。そのためにはまず、個々の走力を上げるのが第一。次にバトンパスを研くことです」と、短距離ブロックのキャプテンである中川は説明する。

 現役の早大OBたちも、世界選手権代表には土江以外届かなかったが、明るい兆しが見え始めている。春季サーキットで田村和宏(セコム上信越)が200 mで高校時代以来の自己新。100 mでも日本選手権6位と、川畑伸吾(群馬綜合ガードシステム)に先着した。
 9月の全日本実業団では、早大2年時にアトランタ五輪代表となった馬塚貴弘(スズキ)が、久しぶりに全国大会2位(過去インターハイ、日本インカレ、日本選手権で2位になっているが、全日本実業団では初めてだった)。今大会予選の中川博文(三洋信販)は20秒85と、自己記録の20秒74に0.11秒と迫った(自己4番目)。
 早大3年時にシドニー五輪代表だった小島茂之(富士通)も、全日本実業団100 mで10秒31の2位。五輪以後の自己最高をマークした。全日本実業団の行われた桃太郎スタジアムのスタンドでは、「五輪イヤーは川畑(100 m優勝)と小島か」との声も聞かれたほど。田村もはっきりと、「今年の世界選手権は意識しないと言ったら嘘になるが、ガムシャラに狙うわけではありません。本当の目標は来年のアテネ五輪。今年の日本選手権は、勝負となる来年の五輪選考会のための経験と位置づけます」と、今年の春からきっちりと1年後を見据えていた。

 アテネ五輪を目指しているのは、実績のあるOBたちだけではない。エース大前の故障とともに、早大不振の印象を与えた一因に相川の不調が挙げられるだろう。昨年のインターハイ100 mで圧倒的な強さを見せたが、今季はまったくいいところがなかった。同期の順大・高平慎士が頑張っているのとは対照的だった。
「リレーでは勝っていても、個人がまったく納得できないシーズンでした。高校のレースはスタートで遅れても後半で抜けますが、大学生のレースではそうはいきません。あと、後半にバテやすくなっています。冬期には200 mを走り込むような感覚で、100 mを速くしたい。自己記録を破れば、大きい大会も見えてきます」
 相川の自己ベストは昨年のインターハイ優勝時の10秒30。それを破れば、五輪B標準の10秒28を突破できるということだろう。
 この日、4×100 mRと4×400 mRの2種目を走った野田も、200 mでは日本選手権で20秒86も記録している。その時点では高平と0.06秒差しかなかったのである。ただし、この日の4×400 mR3走時のラップは46秒1と、悪くはないが良くもない。野田だけに限らないが、一冬越えてどうなるかが、勝負なのだ。


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