2003/10/18 箱根駅伝予選会
レース序盤で目立った帝京大コンビ
個人トップは平成国際大ジェンガ
日本インカレ入賞者全員が大不振
激戦だった9位争いを制したのは国士大

 第80回の記念大会だけの特別開催として、今回のみ箱根町芦ノ湖畔16.2kmで行われた予選会。遠隔地での開催とあって(それも朝の9:30スタート)、例年の何分の一という規模だったが、それでもスタート&フィニッシュ付近には大勢の観客が集まった。気象条件が公表されなかったが、暑くも寒くもなく、風も微風と好コンディションだった。

 スタート直後には平成国際大ケニア選手(どちらか確認し損ないました。写真を撮っていたので…)が前に出て、それに帝京大の戸村将幸(2年)と佐藤拓也(同)が付く展開。間もなくケニア選手が後退し、帝京大の2年生コンビがリード。佐藤が引っ張り戸村がつく形に。戸村は28分49秒04を9月末の鴻巣ナイターで記録。学生ランナーの勲章である28分ランナーとなった。佐藤は埼玉栄高時代から積極性が目立った選手。高校2年時には全国高校駅伝1区でカビル(仙台育英)に次いで区間2位、3年時にも超ハイペースで飛ばすカビルに食い下がった(区間20位)。大学に舞台を移しても特徴を持ち続けることは、結果はどうあれ…では本当はいけないのだろうが、好感を持つことができた。
 5km通過は15分29秒(テレビ画面から推測した非公式計時。以下同)。聞きしにまさるアップダウンの連続で、1km3分ペースにすらならない。5kmを過ぎて戸村が集団に後退すると、6km過ぎには佐藤も集団に。さすがに、このアップダウンの連続を1人で走りきるのはしんどいか。空山隆児(早大3年)、竜田美幸(神奈川大3年)、戸村らが前面に出てくるが、誰も集団から抜け出せずに10kmを30分58秒で通過。

 10km過ぎでは、初の本戦出場を目指す城西大の早田幸司(3年)が歩き出す場面がモニターに映し出された。櫛部静二コーチによると、「以前からふくらはぎに問題があり、アップダウンの続く今回のコースが影響したのだろう」とのこと。平塚潤監督の待機していた10km地点で足を引きずっていたら中止させる予定だったという。しかし、前回次点に泣いた城西大にとっては、タイムを稼げる選手のリタイアは痛かった。
 11km地点の集団は11〜12人。長嶺貴裕(法大4年)の姿も、頻繁に前の方で確認できる。11〜12kmの間でジェンガ(平成国際大2年)がスパートすると、12.5kmで間隔10〜20mの2つの集団に。前方はジェンガ、長嶺、竜田、杉山一介(早大3年)、河野孝志(城西大2年)の5人で、後方は2年前の予選会トップの坂斉亨(国士大4年)ら3人。
 先頭集団は竜田と長嶺が前に位置することが多かったようにも見えたが、杉山が出るシーンもあり、“入れ替わり立ち替わり”という印象。14km付近から河野が遅れだした。15kmは46分37秒の通過。残り1km付近からジェンガがスパートして抜け出し1位でフィニッシュ。優勝タイムは50分39秒。杉山との最後の競り合いを制した竜田が2位で、ジェンガとは2秒差の50分41秒。以下、杉山、長嶺、河野と先頭集団で頑張った選手が5位までに入り、戸村が51分00秒の6位に粘った。

 コンディションがよかったのに、記録が悪いのはひとえにアップダウンのため。さらには、日本インカレ1万m入賞者が4人も出場したレースだが、その4人全員が上位に入れなかった。その4人とは日本インカレ2位の秦玲(國學院大4年)、4位の下里和義(神奈川大4年)、5位の坂斉、7位の中安秀人(城西大1年)だったが、坂斉の12位を最高に秦41位、中安45位、下里46位。日本インカレ5000m5位の空山も43位。5000m7位の吉村尚悟(神奈川大4年)は欠場と、5000m&1万mの日本インカレ入賞者6人のうち、誰一人として10位以内に入れなかったのだ。
 早大の渡辺康幸コーチは「空山や篠浦(辰徳・3年=3000mSC日本インカレ1位)の方が行くと思っていた」と、何度も首を傾げた。これだけトラックの実績のある選手が走れないとなると、その原因をコースに求めざるを得ない。今年限りのことなので、だから今後がどうだ、ということもないのだが…。

 関東インカレのポイントによるアドバンテージを加算後の最終順位&最終総合タイムでは、9位で通過した国士大から13位の國學院大までが1分26秒差という大激戦(チーム成績一覧)。特に、10位の拓大とは僅か4秒差。今回は距離が16.3kmということで、前回1ポイント10秒だったものを“20分の17”として、1ポイント8.5秒とした。距離を切り上げて17kmとしたが、四捨五入だったら16kmとなり“20分の16”とすべきだったとの意見も聞かれた。20分の16なら1ポイントは8秒となるため、20ポイントの国士大のアドバンテージは2分50秒ではなく2分40秒に。最終順位は違ってきたわけである。
 しかし、距離でいうと“20分の16”という設定もできるが、今回のコースの51分前後のフィニッシュタイムから考えると、17kmに相当するという考え方も頷ける。どちらの設定が正しいとか、正しくないと問題にしているのではない。ちょっとした設定の仕方で順位が変わってくる、すさまじい激戦だったということである。

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