2005/6/10
高橋尚子ファイテン契約記者会見から
競技的な内容を中心に抜粋

「チームQは私を全力で支えてくれる人たち。甘えられる雰囲気ではありません」
「ダメな時期もあると思います。でも、そういう時期があってもいい」
「1〜2カ月状態を見て、秋のマラソンを決めます」


>>チームQのメンバーに選手を叱咤したり、管理したりする指導者がいなくて、自分への甘えが生じる不安がないのですか<<
高橋 不安はまったくありません。孔くん(トレーナーの西村孔氏)とは8年来の付き合い。そのときから体調管理など、コーチ的な部分は任せています。さとちゃん(調理担当の佐藤直子さん)はシドニー五輪のときの練習パートナー。練習での速さや距離に差はありましたが、彼女の一生懸命さに多くの力をもらいました。藤井さん(藤井博之)はマラソンを2時間12分で走る選手。自信を持って引っ張ってくれると思います。任せられる人たちですし、何より、私を全力で支えてくれる人たちです。私が甘えられる雰囲気ではありません。独立のきっかけも、人が多くなって1人1人に監督の目が届かなくなったことでした。今度は(まったく逆の状況で)甘えることは絶対にできません。頑張ろうと思える状況になりました。
>>高橋選手には優勝したり好タイムを出して当然という雰囲気が(世間には)ありますが、次のレースが芳しい成績ではなかったら、引退も視野にいれているのですか<<
高橋 正直、昨年までは年齢のことも気にしてしまって、引退も視野に入れていました。しかし、こういう契約をすることができ、4年を期間として見てもらえることになりました。引退という思いは完全に消えました。悩まなくてもいいと、決意ができた。楽になりましたね。4年間、ダメな時期もあると思います。でも、そういう時期があってもいい。それがあるからまた、次に進めます。4年をかけて結果を得られればいい。1つ1つ段階を踏んで、目標をつかんでいければいいと思っています。
>>目標はこれまでも今後も同じだと思いますが、練習方法やメダル戦略で、“ここが変わるよ”という部分はありますか<<
高橋 監督との10年間は私の中で糧となっています。練習はそれがメインになってくるでしょう。ただ、私も2点ほど考えていることがあります。監督と一緒にやっていたときも、マラソン練習の最初の1カ月は、アメリカで自分1人で考えてやっていたので、不安はありません。それに、せっかく色んなところからスタッフが集まってくれました。藤井さんは*******(わけあって公表できず)、西村くんはUFJ銀行。色んなところの知識が集まってくるので、それを取り入れたいですね。大黒柱がない不安がないわけじゃありませんが、トレーナーには補強やウェイトのやり方を教えてもらえるだろうし、藤井さんには走りの技術的な部分を教えてもらえると思います。同じ目標を向いているなら、ケンカをしてもいいんです。
 今まで知らなかったことを教えてもらえると思います。(同じような意味でも)これまでの私は練習量は多かったですけど、日常生活の部分ではお菓子を食べたり寝るのが遅かったりと、不摂生が多かった。絶対に伸びしろがあります。その辺をちゃんと改善していかないといけない気持ちは強くあります。
>>今後のラフなスケジュールは? 次のレースはどう考えていますか<<
高橋 6月16日にボルダーへ出発します。この日に絶対に行くと決めているので、そこは変えずに行きます。宿(アパート?)も決まっていないので、自分で不動産屋を巡ることになるでしょう。そこで、秋のマラソンを視野に入れてやっていきます。具体的には幅広く考えていて、ベルリン、シカゴ、北京、ニューヨーク、東京が候補です。練習を1〜2カ月やってみて、進行具合を見て決めていきます。早く仕上がればベルリンかもしれませんが、東京やニューヨークまで視野に入れていきます。昨年、脚を骨折して、初めて休んだ期間ができました。それまでは故障をしても、少しは走っていました。初めて小枝に留まった年でした。良かった面もある。走り始めたとき、どこまで思い描いたところに行けるか、ですね。1〜2カ月、タイムや体の状態を見て決めます。距離へのスタミナ感、タイムへのスピード感ですね。
 そしてファイテンは、元々駅伝チームのある実業団。実業団登録をして、出られるものなら駅伝にも出たい。全日本実業団対抗女子駅伝は地元(岐阜)開催で思い入れもありましたが、もう出るのは無理と思っていました。


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