ATSUYAなメール
その11
2003年2月13日

寺田さんからの挑戦。

寺田辰朗さま

だんだんと暖かくなってまいりました。
寺田さんとおやじ仲間の私も、もうパッチははいていません。
春はもうすぐそこ。しかし、今年の兵庫リレーカーニバルは、
なんと統一地方選挙の後半戦告示日と同じ日に。
この世に本当に神様がいるのなら、それはとてもいぢわるな神様と
言わざるを得ないでしょう。

ところで、寺田さんは32歳の年下の私をさらにいぢめるかのような難問を
突き付けてこられました。

「天満屋の2時間26分30秒以内の4選手は、全員が兵庫県出身で、全員が違う高校。
これはいったい、どういうことか?」


このような壮大なテーマでの問いは、これまでの32年間の人生の中で受けたことが
ありません。メールをいただいて以来、朝も昼も夜も思い悩む日々が続き、
お陰で髪の毛がすっかりなくなってしまいました(もともとありませんが)。
しかし、私も「おやじギャガー」の一員として逃げるわけにはいきません。
まとまりはありませんが、以下のような結論にいたった次第です。

まず、兵庫県という地域の特性が挙げられるでしょう。
兵庫県はもともと、一つにまとまった地域ではありません。
摂津、播磨、丹波、但馬、淡路という五つの国が合わさって形成された
地域であり、北部は日本海に面した寒い地域、中部は平野が広がり、瀬戸内海
を臨む比較的温暖な地域、そして淡路島は四方を海に囲まれた地域です。
気質も違えば、文化も違う。そもそも、「兵庫県民とはこんな人たち」と定義できな
いほど、多様な人間が生活しています。兵庫県が独立を宣言し、自治国家として
成立すると、本州が完全に分断されてしまいます。

天満屋の2時間26分30秒以内の4選手の出身地を見てみましょう。
坂本直子(西宮市)→摂津
山口衛里(滝野町)→播磨
松岡理恵(五色町)→淡路
松尾和美(神戸市)→摂津

五国とはいえ、摂津は@神戸A阪神と分かれ、播磨は@姫路A姫路を除く西播磨
B東播磨C北播磨などに細分化されます。坂本の西宮は「モダニズム文化」を生み出
した進取の気質にあふれる土地柄、松尾の神戸は港町でハイカラな土地柄。住吉川の東と
西で住民特性が微妙に違っていることを考えると、同じ摂津でも坂本と松尾は同じ文化
圏とは言えないのです。ということは、4人とも、「同じ兵庫県だから」というジャンル
分けだけでは本質は見えてきません。

なぜ、こんな例を挙げるのかというと、兵庫は「五国」による戦いが激しい
ということです。
西脇工業と報徳学園の名勝負は、何も「公立VS私立」の戦いだけではありません。
神戸で生まれ、報徳で育った「明るい、進取の気質にあふれた鶴谷監督」が率いる摂
津チームと、九州・福岡で生まれ、北播磨で教職に就いた「粘りと忍耐の渡辺監督」
が率いる播磨チームという「戦争」なのです。但馬、丹波、淡路からは両チームに選
手を送っていますが、播磨から報徳、摂津(阪神)から西脇工業というのは少ないのです。

天満屋の4人の出身高校が違うのは、それだけ兵庫の有力選手が特定の1校に偏って
いないからなのです。しかも、4人ともが高校時代にあまりいい思いをしていません。
都大路経験者は山口だけ。坂本と松尾は都大路もインターハイも経験していません。
3000mで9分30秒前後をマークしていながら、悔しさだけを胸に(というわけでもな
いでしょうが)卒業しています。
彼女たちは満足できないまま、実業団に進んでいるのです。
では、なぜ特定の1校に有力選手が偏らないのか。それは熱心な指導者がたくさんい
るからです。10年連続都大路出場を果たした須磨学園の長谷川監督をはじめ、西脇工
業の渡辺監督、洲本実業の大野(前)監督、県西宮の萩原監督、夙川の西崎監督など、
それぞれが火花を散らしながら選手育成に励んでいます。そして、高校以上ともいえ
る中学生の豊かな土壌を見逃すわけにはいきません。中学生の指導者たちは安易に強
豪高校を勧めるのではなく、その選手の個性に合わせた進路指導を行っていることも
重要です。また、高校側も(特に女子)「相手陣営に積極的に切り込まない」という
暗黙のルールがあり(例外も当然、ありますが)、須磨学園も住吉川より東の選手勧誘
はあまり積極的ではありません(県西宮と夙川があるからです)。

ここで、少しまとめてみたいと思います。
兵庫県は
@全域で中学生の指導者が熱心で、レベルが高い。
A五国間の競争があり、安易に1校に人材が偏らない。
Bしかも、優れた高校の指導者もたくさんいる。
C人材が分散しているからこそ、高校間の競争が激化する。
Dそして、優秀な選手でも晴れ舞台を経験できないことが多い。
Eしかし、優秀なので実業団に進む。
F高校時代の悔しさを晴らそうと、燃え尽きずに頑張る。
Gそうすると、2時間26分30秒以内で走ってしまう。

以上のようになります。「なぜ天満屋なのか」は分かりません。
強いて挙げるなら、岡山県が兵庫県に近いため、親御さんたちも
「岡山ならいつでも会えるし、指導者は兵庫県に詳しいし、競技を断念してもいつで
も帰ってこられる」
などの理由で理解を得られやすいからではないでしょうか。百貨店なら女性が働く環
境も整備されていそうですし。

ついでに、兵庫の五国別の出身選手の一覧をつくろうと思ったのですが、
また、今度にします。

あまり、寺田さんの挑戦に対する回答になっていないような気がしますが、
お許しください。もう少し時間をかけて論理的な文章を構築したいと思います。

兵庫県郡市区対抗駅伝の観戦レポートも頭の中では練ってあるのですが、
なにかとバタバタしておりまして…。

それでは、本日はこのへんで。

O原A也

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