スポーツ・ヤァ!No.032
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[福岡国際マラソン]
高岡寿成、緊急インタビュー

 トラックの長距離種目史上最強と言われる高岡寿成。シドニー五輪1万mで悲願の7位入賞を果たし、今年5月に中山竹通の1万m日本記録を更新した。その高岡が31歳にして初マラソンに挑む。そもそも、龍谷大の学生だった92年に5000bで日本新を出した高岡がカネボウに入社したのは、マラソンをやりたいと考えてのことだ。
高岡 伊藤国光監督がマラソンランナーだったし、マラソンのノウハウもあると思っていました。トラックはマラソンをやるための、基礎的な段階だと考えて続けていたんです。やっぱり、テレビとかでマラソンを見ていると、いつかはやりたいな、って思います。アトランタ五輪(1万mで予選落ち)後にもマラソンに転向しようと、真剣に悩みました。しかし、「トラックで本当の勝負をしていない」という伊藤監督の説得で、シドニーまではトラックと決めました。マラソンランナーだった中山竹通さんの作った1万bの日本記録を抜きたいと、本気で考え始めたのもその頃。ただ、昨年の五輪後は、もういい加減にマラソンをやらないと時間がないと悩みました。結局、今年の世界選手権までトラックをやりましたが、トラックランナーで終わろうという気にはなりませんでした。

 福岡はかつて、中山が独走優勝した大会であり、昨年は藤田敦史が日本最高を樹立。今回は、シドニー五輪&エドモントン世界選手権を連覇したアベラが出場する。
高岡 どうせ走るのなら“いい条件、いいコース、いいライバル”でやりたかったですから、“勝負師”のアベラと走れるのが楽しみです。自分としては“負けないレース”ができればと思っています。それができれば記録もついてくる。具体的に2時間何分とか目標タイムは立てていませんが、1`3分を目安にしています。(1`3分ペースで走り通せば2時間6分30秒台、日本最高記録になるが…)今はもう、2時間10分を切ったくらいでは勝負できません。これからは2時間3分、4分台の時代が来るわけです。そこで勝負するには3分ペース(5`15分)が目安で、いずれは14分40〜50秒のペースでもやってみたい。唯一、年齢が高くて不利なのは、失敗するレースができないことです。今後10回とかマラソンができるのなら、ペースメーカーの前を走るようなレースもしてみたいんですが…。でも、これまでトラックをやってきたことに悔いはありません。僕の武器はスピードと、距離は違っても世界で戦ってきた経験です。これらは若い選手に優っています。それを30`以降で発揮できれば、いい結果が出ると思っています。

 トラックを極めた高岡のマラソン練習には、特徴がある。世間で考えられているマラソン練習とは、違いがあるようだ。
高岡 僕は走った距離を計算しません。毎日、日誌にはつけますが、計算することで無理に距離を追いかけることは避けたいんです。マラソン練習に1000`とか1200`を何カ月もやる必要はないと思っていますし、僕の場合、故障につながりそうで、できないですね。
 それに、普通だったら練習の40`走を2時間何分とかでやりますが、僕はジョッグ的な感覚で40`を走る。40`を2時間5分とか10分に設定してタイムを追いかける練習が必要かといえば、そうじゃないと思います。僕の最終目標はあくまでもアテネ五輪のメダルです。将来的に完成されたマラソン練習がどうなるのかわかりませんが、今の僕の段階だったら、何%かでいいと思っています。そんな状況で、どれだけ走れるかを楽しみにしているんです。
 その代わりというわけではないんですが、九州一周駅伝(11月2日〜11日)で中3日で20`の区間を2回走り、1`毎を全部3分以内で、それも1人で押していけました。さらに中1日で40`走をやって、タイムはとらないけど感覚、感触を確認できた。距離に不安がないわけではないのですが、楽しみの方が大きいですね。


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