サンデー毎日増刊「ニューイヤー駅伝2003公式ガイドブック」
シカゴ・マラソンで世界歴代4位タイ
いま、世界に最も近いアスリート

高岡寿成が語る
ニューイヤー駅伝とアテネ五輪



“有言実行”は間違いなく、高岡寿成の特徴の1つである。アトランタ五輪一万bで予選落ちした後、「シドニー五輪では入賞する。マラソンをやる前にトラックを極めたい」と公言し、4年後にはみごと、7位入賞を果たした。シドニーではレース直後に「次は一万bの日本新記録を」と話し、翌2001年5月に、27分35秒09と中山竹通の持つ記録を15年ぶりに更新した。
 こんなこともあった。
 その年(01年)12月の福岡で初マラソンに挑戦する前には、31歳という年齢を懸念する声もあった。結果は2時間9分41秒の3位と、評価の難しい成績。レース後に一対一で取材をする機会があったが、そのとき「歳(とし)は関係ないですよ」と言い切った高岡の言葉には、体の芯から発せられた魂の叫びのような力強さが感じられた。
 普段の高岡は、物腰のやわらかい青年。インタビューでの真摯な受け答えは実直そのもの。初対面の人間は高岡が、4種目の日本記録を持つ選手とは、絶対に思わないはずだ(長身と引き締まった体からスポーツ選手とは気づくだろうが)。そんな青年が自分の目標を語るとき、言葉に力がこもる。
「自分では、そんなに意識して話しているわけじゃありませんし、(目標を達成できる)自信とか根拠が明確にあるわけでもないんです。言っておいて失敗したこともありますよ。ただ、それをやり遂げたい気持ちは、どんなときでも持っています。“この記録は速い”、と思ってしまったら、とても実現できません。適当な気持ちで言っているわけじゃないんです」

(中略)

「駅伝では借りばかりたまっていますから、早いうちに返したいですね。チームも変わってきて、ようやく勝負できる状態になってきました。7年前に勝ったときのメンバーは僕と森宗(寛司)しかいない。若い選手が勝ち方を知らないと、このあともどうにもならないと思います。マラソンの高岡はシカゴで出せたと思うので、駅伝では、エースとしての役目を果たさないといけないと思います」
 具体的な走りとしては、次のようにも話している。
「シカゴでハヌーシに抜かれたときは、駅伝でガソ(コニカ)やマイナ(トヨタ自動車)に抜かれたのに近い感覚でした。そういったケースでもう1回ついていって、勝負することを、今度の駅伝では考えています。そこで抜き返すような走りができれば、ハヌーシに抜かれても抜き返せる。本当に、そうですよ」
 駅伝での“有言実行”が、アテネのマラソンにつながると考えている。

(後略)

※この続きは12月13日発売のサンデー毎日増刊「ニューイヤー駅伝2003公式ガイドブック」(毎日新聞社・定価500円)をご購読ください。