サンデー毎日増刊「ニューイヤー駅伝2002公式ガイドブック」
TOP ATHLETE from KENYA
[トップアスリートの素顔]
ケニアのザ・マン・オブ・ザ駅伝。
「駅伝は仲間で戦う」
「ケニアのこと、あんまり聞かないでください。10年も離れているから。逆の方が…」
流ちょうな日本語でこう話すのは、ダニエル・ジェンガである。エスタ・ワンジロ(資生堂)らとともに、仙台育英高のケニア人留学生の第1期生。高校時代から詩吟を習うなど、日本に積極的に溶け込んできた選手だ。
そのジェンガに、駅伝の魅力、面白さとは何かを聞いた。「難しい質問ですね。入社試験の面接以来です」と周囲を笑わせておいてから、次のように話してくれた。
「マラソンやトラックは1人で戦う。駅伝は仲間で戦う。タスキを受けた人はまた、他の人に渡さないといけない。いいこと(走り)するとまた、いいことする人が出てくる。困っているときに助けてあげることもあれば、助けてもらうこともある。(そうやってタスキを)渡して、渡して、渡していく。やっていて面白いです」
面白いから、責任が生じる。いや、その逆だろうか。駅伝には責任があるから、面白くなる。ジェンガはそのことを、身をもって示した。
流通経大からヤクルトに入社して1年目、2000年のニューイヤー駅伝のこと。当時、最長区間だった6区に登場したジェンガは、33位でタスキを受けた。18.0kmの間に前を行く走者を次々に抜き去り、チームを13位に押し上げる快走を披露。その前年、仙台育英高の後輩であるジュリアス・ギタヒ(日清食品)が3区で作ったゴボウ抜き記録「18人」を「20人」と更新したのである。
だが、このときにジェンガは、右足首の甲を骨折しながら走っていたのだから、驚きである。
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