初陣 渋井陽子
初マラソン世界最高への密着67時間
<リード>
1月28日の大阪国際女子マラソン。初マラソン世界最高(2時間23分11秒)で圧勝した渋井陽子(三井海上)は、そのユニークなキャラクターでも知られている。しかし、笑いを誘うコメントの端々に、今回の快走のヒントが隠されていた。渋井のコメントと、それに関連する鈴木秀夫監督のコメントを交互に紹介することで、浪速の快走劇の舞台裏を明らかにする。
――1月17日に1カ月間の昆明(中国・標高約1900m)合宿から帰国した渋井だったが、年末年始にかけて病気で寝込んでしまったという。具体的にどんな状態で、どの程度練習に影響が出たのだろうか。レース5日前の1月23日、鈴木秀夫監督に確認した。
鈴木監督 12月27日に40kmをやって2時間25分33秒、ここまでは順調でした。ところが、28日に発熱・嘔吐・下痢と3拍子揃って発病してしまいました。風邪のような、軽い食中毒のような症状です。それから6日間、寝込みました。外に行っても、10分も経ったら気持ちが悪くなって帰ってくる始末です。
31日に私は帰国したんですが、この時は熱も少し下がって回復していました。しかし、1月2日に渋井から電話があり、ただでさえ低い声をさらに低くして『かんとくうー、わたしダメです。死にそーです』って言ってきたんですよ。正直、この時は大阪はダメかなと思いました。『明日そっちに行くから、様子を見て、ダメだったら7日に帰国しよう』と言って聞かせ
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