陸上競技マガジン2013年4月号
日本選手権20km競歩
鈴木雄介
1時間19分02秒=日本新
感じていた自身の進化、巡ってきた好機をモノに


●18分台に届かなかった悔しさ
 13年ぶりに日本記録を更新したにもかかわらず、フィニッシュ後の鈴木雄介(富士通)は悔しそうな素振りを見せた。その様子が半端ではない。
「1人になった12km以降も1周(2km)8分を切っていたので、『これは日本記録は出る』という感覚で歩き続けられました。その時点で“日本記録のうれしさ”は感じていて、レース後半は1時間18分台を目標にして歩いていたんです。コーチ陣から残り5kmでペースアップするよう指示があったのですが、それができずに18分台を逃したのが悔しかった」
 レース中に冷静な判断ができ、“次”を考えられる時間もある。競歩ならではのシーンだったといえそうだ。
 鈴木が日本記録を達成可能な目標と考え始めたのは、2010年の全日本競歩能美大会。1時間20分06秒の学生記録(当時)をマークし「次は日本記録(1時間19分29秒)しかない」と思っていた。
 昨年のロンドン五輪こそ36位と失敗したが、2011年のテグ世界選手権は8位に入賞。活躍の舞台は世界へと広がっていたが、自己記録は3年間更新できないでいた。
「1年1年、自分の進化は実感できていましたが、今日のようなレース展開ができるチャンスが巡ってこなかった。その時が来るのを“待っていた時期”だったのだと思います」
 昨年の今大会はケガで欠場。シーズン前半は歩く練習ができず、ロンドン五輪は準備不足の状況だった。
中略

 鈴木の特徴は歩型が安定していること。“競歩どころ”の石川県で競歩を身近に見て育った。2005年世界ユース銅、2006年世界ジュニアも銅と、世界大会で連続してメダルを獲得。国内大会はもちろん、国際大会でも警告を受けたことはあまりない。
 今回トレーニングを進めるなかで、1km4分00秒から3分55秒に意識を上げたが、そのときも歩型に神経質にならずにすんだ。
「僕の場合は

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