陸上競技マガジン2013年3月号
大阪国際女子マラソン
福士加代子
ついに打った世界への布石

●“三度目の正直”の答えは果たして
 2008年と2012年。“トラックの女王”福士加代子(ワコール)は大阪国際女子マラソンで2回続けて失敗した。世間的にも期待が大きかっただけに、失敗が強調されてしまった。
 その福士が今年の大阪は2時間24分21秒で日本人トップの2位に。この結果で“三度目の正直”といえたのだろうか。福士自身、その点を聞かれると「もう、わからないですよ」と困惑気味に答えた。
 日本人1位で“派遣設定記録”をクリアすれば8月の世界選手権代表に決定する。だが、2時間23分59秒以内という設定に22秒届かなかった。それでも、総合的に見たら世界選手権代表は確実。福士がすっきりしなかったのは、今回の大阪に対する思いが強かったからだろう。
 出場予定だった昨年11月のニューヨークが中止になった後に、大阪出場を希望したのは福士自身だった。レース2日前の会見で大阪を選んだ理由と目標を質問された。
「理由を全部言ったらきりがありませんが、負けたまま終わるのは悔しかった。メンバーも良かったし。自己記録を大幅更新して勝ちたいです。課題は42.195kmを走りきること!」
中略

●気持ちの変化
中略
 メディアの質問に苛立ちを隠せないことも。「別にマラソンを走らなくたって、いいじゃないですか。トラックや駅伝を頑張っているんですから」
中略
 42.195kmを克服できないでいた福士だが、“長い距離に立ち向かう姿勢”はできてきていた。

●マラソン練習をしながらスピードを出す
中略
 駅伝は10月末の西日本予選も12月の全日本も、マラソン練習のなかでの出場だったが、ともに3区で区間賞の快走。「スピードは一番追わなかったマラソン練習でしたが、レースになるとスピードは一番出ていた」(永山監督)。
 全日本のレース後に福士が次のように話していた。
中略
 そこが完全に克服できたときが、トラックの女王が“マラソンの女王”になるときだ。


PEOPLE
永山忠幸  ワコール監督
 記録にこだわってきた指導者の代表格といえるだろう。指導する福士加代子が3000m、5000m、ハーフマラソンの日本記録を樹立。「マラソンでも日本記録を出して歴史に残る選手になってほしい」と、自身の夢を福士に伝えてきた。日本人1位となった今回の大阪は、“夢”を実現する過程の1つのステップと位置づけられる。
 福士以外の選手たちにもつねに、自己記録の更新を求めている。
後略

※この前後は陸上競技マガジン2013年3月号でご覧ください。


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