陸上競技マガジン2013年1月号増刊
箱根駅伝2013完全ガイド
日体大
復活への確固たる手応え

●かみ合わなかった歯車
 いつもの落ち着いた話し方だが、別府健至監督の声には張りがあった。
「3位が見えてきました。過信でも慢心でもなく、自信がチーム全体から感じられるようになりましたから」
 箱根予選会はトップ通過。10時間04分47秒は立川のコースになって歴代2番目のタイムだ。最後5kmを勝亦祐太(1年、西脇工高・兵庫)、高柳祐也(4年、埼玉栄高・埼玉)ら4人が14分55秒以内で上がった。“いっぱい”ではなかった証拠だろう。
 2週間後の全日本大学駅伝でも4位。アンカーの矢野圭吾(3年、佐久長聖高・長野)が早大を13秒差まで追い上げた。
「予選会で集団走をした選手たちは心的疲労がなく、全日本につなげられました。2つの大会の間も緊張感をもって練習ができましたね。満足はしていませんが、予定通りに来ています」
 今でこそこう話せる別府監督だが、2012年の日体大は最悪のスタートだった。箱根駅伝でチーム最低の19位。20位の東農大にアクシデントがあったことを考えると「最下位と同じ」(別府監督)という屈辱だった。
「去年はチーム全体が自信を持てませんでした。全日本大学駅伝は13位で、箱根前も歯車が合わなかった。練習はやっていたので“なんとかなるか”という希望的観測もしていましたが、不安の方が的中してしまった」
●19位からのチーム改革
 別府監督の対応は早かった。フィニッシュ後の集合で、次期キャプテンに新3年生の服部翔大(埼玉栄高・埼玉)を指名する荒療治を断行した。「このままでは来年の箱根に出られないのではないか、という危機感がありました。ここで歯止めをかけないとずるずる落ちてしまう」
 1月のうちに朝練習、体操、補強、ストレッチ、ウォーミングアップのドリルと全てを見直し、新しいやり方を多く取り入れた。そして4月には渡辺公二西脇工高前監督を
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日体大
主将・エース・四番、服部翔大
「熱い思いは感じられるんですが、口べたですね。その分、走りでみんなにアピールしています」
 同じ3年生の本田匠が、服部翔大のキャプテンぶりをこう話した。実際、練習は服部が引っ張ることが多い。設定タイムが速いメニューでは、当たり前のように先頭に立つ。
「みんな様子をうかがっているんですが、自分はまどろっこしいのが好きじゃないんです」と服部。やんちゃ坊主的な男の子が、周りを気にせずどんどん前を走っている姿が思い浮かぶ。レースでもグイグイ前を行くし、ミーティングでも強気な発言をする。
 別府監督は「“3年生キャプテンは良くない”という声も出ました」と打ち明ける。「しかし、チームを立て直すにはこれしかない。4年生が奮起してくれることも期待してのことです」
 走りだけのキャプテンではない。
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