スポーツ・ヤァ!123号
世界陸上2005HELSINKI 直前レポート
末續慎吾
無抵抗という名の欲
「無抵抗ですね」
7月10日の南部記念レース後に、世界選手権への抱負を問われた末續慎吾は、「?」な答え方をした。世界選手権最重要選考会の日本選手権を、左ヒザ裏の故障で欠場した末續にとって、南部記念は“追試”のレース。脚への負担を考え、2カ月間スタートダッシュはまったくやっていなかった。それでも、雨中のレースで10秒15。2位に0.10秒差をつけ、国内では万全でなくても勝てることを改めて印象づけた。
しかし、ホッとした顔を見せたのも束の間、末續の表情は引き締まった。
「走りが2つに分かれてしまっています。春先は“筋力の走り”でしたが、今日は新しい動きを意識した“技術寄りの走り”。どちらでも10秒1台は出せるのですが、筋力だけでは故障をしてしまうし、技術だけでは推進力がいまひとつ。両方をつなぎ合わせる作業をしていますが、答えはまだ見つかっていません」
それと“無抵抗”が、どう関連するのか。
末續は2年前のパリ世界選手権200b銅メダリスト。短距離でのメダル獲得は五輪を通じても例がなく、“天才”とも評された。その選手の中では意味のある言葉でも、周囲はすぐに理解できない。それもある意味、天才らしいところだろうか。
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