スポーツ・ヤァ!103号
高岡寿成
2年ぶりのシカゴで世界記録をめざす
今が最高時。競技人生の集大成の年

アテネ五輪男子マラソンから、ちょうど1か月後の9月29日。肌寒さを感じる北海道千歳市に高岡寿成はいた。5日前に34歳を迎えたばかり。日焼けした顔は十分に引き締まり、いつもの柔和な笑顔ではあるが、眼光は鋭さを増している。
「残り10日間。最高の状態に仕上げて、これまでで一番いい大会にしたい。狙いは記録更新だけ、です。2時間4分台を目指して、結果的に自己記録を1秒でも更新できればいいと思っています」
 舞台となるシカゴは2年前に3位となり、2時間6分16秒の日本記録(当時世界歴代4位)を出した場所。渋井陽子が日本最高(トル)記録を出したベルリンと並び、世界記録を何度も生み出してきたコースである。オリンピックを走れなかったから海外で記録でも狙っておこう、などと安易な気持ちではない。取り組んできたことが間違っていなかったと証明するレース、自身の存在そのものを懸けた戦いだ。
「記録を狙えるのは今回が最後だと思っています。


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