陸上競技マガジン2003年4月号
2002 ATHLETE of the YEAR JAPAN
高岡寿成[カネボウ]
受賞インタビュー


 日本陸上界年間最優秀選手を選ぶ「アスリート・オブ・ザ・イヤー・ジャパン」(本誌制定。国内外37人の陸上競技専門家・ジャーナリストによる投票で決定)。17回目となる2002年の栄冠は、シカゴ・マラソンで2時間06分16秒の日本最高記録(世界歴代4位)をマークした高岡寿成(カネボウ)に輝いた。男子ハンマー投の室伏広治(ミズノ)とは2点と、史上最僅少差での受賞だが、その価値が低くなるものではない。8年前に続き2度目の受賞だが、この8年というインターバルの長さに、高岡の特徴が表れている。

◆8年前の受賞との違いは?◆
――昨年は見事な活躍でしたが、この賞を取れると思っていましたか。
高岡 いえ。あまり考えていませんでした。賞をいただくのはこれで6個目ですが、賞というのは“取るんだ”と目標にするものではなく、(試合などの)目標に向かって頑張った結果、いただけるものです。それに、他にも活躍している人は多いですから。室伏(広治・ミズノ)君はグランプリファイナルを取ったんですよね。それより上の評価をいただいたのは嬉しいです。
――94年の受賞はアジア大会トラック2冠が評価され、今回はマラソン日本最高で。受賞された気持ちに違いはありますか。

 (中略)

◆小さな失敗もあった2002年◆
――しかし、実は失敗もあった1年間だったのでは?
高岡 リスボンですね。トラックでは勝負させてもらえなかったけど、ロードなら勝負できるかとも考えていたんですが…。ワンウェイの下りのコースでしたが、下っていたのは最初の5kmだけ。そこまでを13分50秒台で入って、6kmで引き離されました。脚力も要るなと痛感しました。そこでシカゴまでのプランを変更するとかはありませんでしたが、世界で勝負するにはきっちりやって行かないとダメだと、改めて気を引き締めました。
――日本最高も狙っていたのですか。

 (中略)

◆息の長さを示すエピソード◆
――それにしても、息が長いですね。過去、この賞を2度受賞した選手は2人いますが、2年ぶりと4年ぶりでした(高野進=86・88年、有森裕子=92・96年)。
高岡 4年を1つのスパンとして考えると、自然と長くなるんじゃないでしょうか。4年間の中に色々と目標を設定することで、やって来られました。チームメイトの存在も大きいですよ。調子の悪いときに後ろを走らせてもらうのは、全然違います。会社を含め、サポートをきっちりしてもらえるのも心強かったですし。
――長くやっているな、と実感することは?

(中略)

――昨日、藤原正和(中大)選手が初マラソン日本最高を出しましたが。
高岡 新しい時代の選手ですよね。 (中略)

◆2003年にやるべきこととは?◆
――今年は、アテネ五輪選考会となる福岡国際マラソンが一番の目標ですか。
高岡 とにかく勝つことです。勝たないと次がないわけですから。勝負の“読み”はそのときにならないと何とも言えませんが、今までのトラックの経験と、少ないですけどマラソンの経験と、伊藤(国光)監督の話と、そして自分のセンスで勝負したいと思います。プレッシャーがかかるのは覚悟の上。そのくらいのプレッシャーに耐えられなければ、オリンピックに行っても戦えません。逆に、今から12月の福岡と覚悟できているのは、自分にとっては大きいですね。試合に合わせられるのも、自分の強みですから。
――ピークを合わせるコツは?

 (後略)

※この続きは3月14日発売の陸上競技マガジン4月号(ベースボール・マガジン社・定価950円)をご購読ください。