2006/7/14 ローマ・ゴールデンリーグ
末續B組8位・10秒35
福士11位・15分03秒17

“世界との差”を見せつけられたゴールデンリーグ
次戦以降に期待できる材料も

 末續慎吾(ミズノ)といえど、ゴールデンリーグではA組に出場できない。B組となったが、それでも9秒台が3人。アテネ五輪200 m金メダリストのクロフォード(米)までいる。シーズンベストの比較では末續は9人中8番目。1レーンに入れられてしまった。
 スタートは遅れたように見えたが、隣の2レーン、トーマス・ドワイト(ジャマイカ)が良かったせい。他のレーンの選手とどうだったのかはわからない。後半はクロフォードが1人抜け出て10秒02(±0)。2位のM・バーンズ(トリニダードトバゴ)に0.11秒の差をつけた。末續は後半、中位争いからも置いていかれてしまって8位。レース前のシーズンベストと同じ順位となってしまった。
「何もさせてもらえませんでした。中盤はなんとかつけましたが、70mくらいからズルズルと置いていかれてしまった。(序盤で力を使いすぎてしまったのか、との問いに)やっぱり100 mなんで、組み立てが200 mと違います。力の出し具合がまだわかりません」

 2年前にヨーロッパを転戦したが、ゴールデンリーグは初出場。
「大阪GPのように1人だけ強い選手がいるという状況ではなく、ごっそりいたので“あー、これかぁ”と。それでもB組ですからね。準決勝レベルかと思っていましたが…。実力差でしょうね、100 mは。まだ、あります」
 今回、スタートで動き出す足は、従来通りの後ろ脚。最初の試合だったので「冒険はせず、しっかり走りたかった」というのが、その理由。一方、日本からローマ入りは2日前の夜。完全にローマに合わせたわけではない。中1日でフィンランド、中2日でベルギーで200 mに出場する。タイトなスケジュールを組んだ。
「意図的にそういうスケジュールにしました。その状況でも、3本をケガなく、きっちりとこなすことが目標です」

 強豪外国勢は連戦をしても、力を安定させて出している。一方の末續はどちらかというと、大試合にピークを合わせて出し切ることを得意とする。100 mでは“世界との差”を見せつけられたが、2・3戦目を見てみないことには、末續の今の力はわからない。


 女子5000mはコミアジナ(ロシア)がペースメーカー。以下のようなペースで3000mまではレースを引っ張った。
1000m 2分57秒94
2000m 5分58秒64
3000m 9分01秒14
 風は強くなかったが、気温27℃・湿度68%の気象条件。14分53秒22の日本記録を出したのが昨年のローマ。今回も“ちょうどいいペース”ではあったが、それは福士の状態が完全な場合。日本選手権前に膝の故障があった福士は、「かなりきつくなっていた」という。
 幸いなことに、ペースメーカーがいなくなり、相当にスローな展開に。「14分台は無理かな」と思ったが、先頭集団をキープできた。
4000m 12分07秒19
 しかし、4500m付近からのペースアップはすさまじかった。T・ディババ、デファー、ブルカ、アデレのエチオピア勢に、ジェプレティング、オチチのケニア勢。14分52秒37で優勝したディババの、ラスト1周は58秒台だった。
 福士は一気に置いていかれてしまい15分03秒17。最後のスパートだけで10秒以上の差をつけられて11位だった。
「ペースチェンジは1回だけで、ヨーロッパのレースでは簡単な方でしたが、その1回がすごかったですね。ペースが落ちたときは楽でしたけど、上げられたらそこでダメ。ラスト3周で出ようかと思いましたが、迷いがありました。外国勢が強いという先入観が、まだあるのだと思います。“負けてもいいか”とか“引っ張ってやるからついて来い”と思えなかった。今日は普通についていこう、と思っていたのがよくなかったのかもしれません」

 いつもの福士からすると大人しい走りだったが、それも、日本選手権前の故障を考えれば、この日のタイムは十分合格点。世界選手権A標準も突破した。02年にも15分02秒08と、今回と似たタイムをローマで出している。そのときは、良くてそのタイム。今回は悪くてもこのタイム。4年前より、格段に力はついている。
 今後の調整が上手くできれば、ヘルシンキ(26日)の1万mは期待できる。


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