2001/10/15 国体2日目ダイジェスト
吉田孝久と二瓶秀子が最後の試合
ラグビー有名選手の長女
少年B女子砲丸投でラトゥが優勝

静岡が3種目制覇で天皇杯得点トップ

 晴天には恵まれたが、15時には20℃を割りやや肌寒いコンディション。

 成年女子100 mは島崎亜弓(静岡・スズキ)が大学4年時の日本インカレ以来の全国優勝。ただ、坂上香織(ミキハウス)はエントリーせず、新井初佳(兵庫・ピップフジモト)は欠場。二瓶秀子(福島大)も故障の影響で完調ではなかった。一番残念がっていたのは島崎自身。予選で11秒75(+1.0)をマークし、準決勝は向かい風1.5mに阻まれたが「自己新が出てもいい動きだった」というだけに、「残念です。一緒に走りたかった」と言う。

 成年女子400 mHは、今季2度日本記録を更新するなど、日本選手間で無敵を誇る吉田真希子(福島・福島大TC)が57秒49の大会新で2連勝。しかし、「どんどん課題が見つかってきている」と言い、来年に向けて気合いが入っている。

 一方、福島大の先輩に当たる二瓶秀子(福島・福島大)は、日本選手権リレーを残すとはいえ、個人種目では今大会が最後。成年100 mで3位だったが、8月に足首を痛めた影響で、練習を再開したのは3週間前。
「1人ではここまで来られなかった。家族に感謝したい」と、既婚選手らしいコメント。95年に200 mで日本タイを出して日本中をアッといわせ、今年7月には30歳で100 mに日本選手初の11秒3台をマークした。
 引退を惜しむ声も多いが「引退すると決めていた年に日本新が出ただけ」と、笑顔で説明した。二瓶は昨年から大学院で学んでいるが、来春からは教員に戻る予定。福島大のコーチは引き続き行うという。
 二瓶は高校・大学とずっと福島県で競技を続けてきた。200 mの日本タイは福島県のあづま競技場、100 mの日本新は岩手県の北上、そして個人種目引退レースは仙台みやぎスタジアムと、みちのくが生んだスプリンターらしく、節目の競技会は東北ばかりだった。

 マスコミが二瓶の個人種目引退レースに目を奪われるなか、もう1人、大物選手が最後の試合に臨んでいた。成年男子走高跳に出場した吉田孝久(神奈川・ミズノ)である。「国体という大会だから」と、本人は周囲にそのことを隠していたが、試合後に筑波大の2年後輩、海鋒佳輝(岐阜・岐阜高教)の口から一部記者にそのことが告げられ、緊急で会見が行われた。
「引退を決心したのは日本選手権が終わった頃。だんだん練習で自分を追い込めなくなったんです。気持ちが切れたわけではないんですが、同学年の伊東ちゃんや苅部、北田が徐々に(試合から)遠のいていって、多少、影響されたのかもしれません。印象に残っているのは、最近では去年の南部記念です。苦しかった時期は…(会見の詳細は別記事にする予定)」

 島崎亜弓が成年女子100 mに優勝する直前に、走高跳のピットでは、尾上三知也(静岡・スズキ)が4人による優勝決定試技に2m18で決着をつけていた。「記録が悪い」と顔色のさえない尾上だが、2週間前の全日本実業団に続き全国大会2連勝。「記録が悪くても、これで来年のアジア大会の候補になったと思うので、アジア大会で納得のいく記録を跳んで…」。尾上も10月28日で30歳になるジャンパー。海鋒も同学年で、吉田孝久は2学年上、日本記録保持者の君野貴弘(ゴールドウイン)は尾上の1学年後輩。

 尾上が優勝を決める直前だったと思う。走幅跳のピットでは鈴木翔(静岡・沼津東高)がスピード豊かな助走から、6回目に7m34(+0.6)を跳躍。中居正太郎(大阪・太成高)に並び、セカンド記録で上回って逆転優勝をやってのけた。静岡は立て続けに3種目に優勝し、静岡新聞の記者やSBS(TBS系列の静岡のテレビ局)は多忙を極めた。天皇杯(男女総合)対抗得点で1位、皇后杯(女子)対抗得点で2位。かつての陸上王国に昔日の勢いが戻りつつある。

 少年B男子800 mはマラソン日本最高記録保持者の藤田敦史(富士通)の後輩、田村一平(福島・清陵情報高)が1分55秒70で優勝。藤田あゆみ(穴吹工務店)の後輩でもある。

 少年女子B砲丸投は、ラグビーのラトウ(三洋電機=トンガから来日し、大東大を大学日本一に導き、三洋電機では日本のトップリーグでは初の外国選手キャプテンを務め、日本代表としてワールドカップ3回連続代表)の長女、ラトウ・アリシ(埼玉・埼玉栄高)が12m84で優勝。記録的には自己ベストの13m01には届かなかったが、来年のインターハイは投てき3種目でメダルを取るのが目標だという。
 少年A女子1500mは旭化成・宗猛副監督の長女、宗由香利(宮崎・ウルスラ)がラストでワボイ(青森・青森山田高)以下を圧倒。ラスト400 mを65秒4、200 mを31秒8でカバーした。