2001/9/29 全日本実業団
実学円盤投特集B
山口が“2強(中西&室伏)時代”に一矢
円盤投における風の影響についても少し触れています
山口:  F  −  F  −39m55−48m73−52m52−49m95
中西:50m65−52m50−51m46−47m29−51m14−49m37
室伏:48m75−  F  −49m80−  F  −51m40− F 


左から中西、山口、室伏。中央に“2強”以外の選手が
立ったのは、何年ぶりだろうか


「女子の円盤投選手たちの間に、中西さんと室伏さんの2人に勝ってやろうという気持ちはあったんでしょうか」という質問に対し、山口智子(呉市体育振興協会)は「まったくないと思います。いつも3位狙いです。今回は50mを投げて、10月の国体につながればいいと考えていました」と、応じた。
 それだけ、中西と室伏の2強は、抜きん出た存在である。ベスト記録は日本記録保持者の室伏が56m84、歴代2位の中西が56m51と、現役選手ではこの2人が56m台。52m30の高間麻里がこのところ競技会に出てこないので、記録的な現役選手3番手は今年53m67(歴代4位)をマークした池田理恵(原町高教)で、51m40の山口は4番手ということになる。記録上の差だけではなく、国内の試合では常に“2強”のどちらかが勝ち続けた。
 山口自身は“勝とう”と思っていたわけではないが、自己記録くらいは出せそうな好調さは自覚していた。他の選手たちもトライアルの段階で、「(山口さんは)今日はいくな」(中西)と感じていたという。ところが、前半はファウル−ファウル−39m55という結果で、ぎりぎり8番目で後半に駒を進めた。今大会の参加者は9人。木村幸恵(富山体育センター)が3回連続ファウルをしていなかったら、ベスト8漏れしていたかもしれないのだ。
「3投目までは力んでしまって、どうしようもなかったです。4投目以降は、(ベスト8に)落ちていたのかもしれないのだから思いきりいこう、と。5投目は上がりすぎて、48mくらいの感触でした。風に乗ったのだと思います。会心ではありません。自己新記録は嬉しいんですが、2人に勝てたという実感はありません。あの1本だけでしたし、試技内容的にはまだまだ追いつけていません」
 確かに、この日は円盤投に有利とされる向かい風が吹いていた。記録に風が影響しやすい種目だけに、選手も神経を使う部分ではある。だが、一口に向かい風といっても、吹き上げるような風もあるし、吹き下ろすような風もあり、対応方法は楽ではない。3位の室伏は自身の反省を色々と話してくれたが、そのなかで風に関しては次のように言っていた。
「自分の試合展開が上手くつくれませんでした。どうしても記録に対して、頭が先に行ってしまって…(中略)風を気にする部分も多かったと思いますが、そういうことを気にせず、何があっても投げられる心境にできないといけないと思います。(中略)今日の風に乗りやすい人もいたかもしれませんが、私はまったくダメでした。途中まで飛んでいって、パタンと落とされる。風に上手く乗せるのも技術なんですが、投射角度とか考えすぎたらダメなんでしょう。(その辺を)無意識にできるくらいにならないと」
 つまり、風によって微調整は必要だが、それが無意識にできないといけない、ということだろう。