2001/9/28 日本インカレ
実学円盤投特集A
実学といっても実業団・学生対抗ではなくて、男女の円盤投が盛り上がった日本インカレと全日本実業団の2試合のこと。ともに9月の最終週に行われた
54m82の17年ぶり学生新!! 競技直後の中林と一問一答
『一番よくないのは、(日本人に60mは出せないと)特別視すること』
53m20−54m82−F−F−48m96−F

Q.学生新記録を出した今の気分は?
中林 投げた直後は感激して、正直、ジーンときました。でも、何年か余分に(今年で25歳)学生をやっていますから、学生記録は最低限の目標でした。ホッとしたという感じです。しかし、55mに乗せたかったので口惜しい思いもあります。55mは大学4年を迎える冬期練習から意識するようになりました。試合の中で学生記録を意識したことはないんです。今日も1投目のあとは、学生記録でなく55mを意識していました。学生記録は2投目のあとに気がつきました。
Q.今日、技術的には?
中林 この1カ月か3週間くらい、技術的にまとまらず、今回は8点を取る(優勝する)ことが目標でした。記録は狙っていませんでした。いろいろあって学生をやっていますが、勝っても恥ずかしいというか、勝って当たり前だと思っています。どんなに調子が悪くても試合の中で調子を上げて、勝たないといけないと思っていました。(1投目に53mが出て)気持ち的に楽になりました。試験的に試したポイントがあって、あの記録が出て、戦えると、問題ないと感じました。
Q.試したこととは?
中林 前半のターンであえて、あまり勢いをつけませんでした。本来、つけたいところなんですが。最後の振り切りに重点を置いたんです。普段から技術が崩れるときは、パワーポジションから振りきりの部分が、グチャグチャになるんです。調子を上げるときにまず手をつけるのはそこですね。そこがよくなったら、ターンの入りとか他の部分に手をつけるという感じです。
Q.学生新の2投目は?
中林 1投目は全体的でなくて、自重した感じでした。1投目でポイントがクリアできたので、2投目はターンの始めも意識して、左に重心が乗るようにしました。簡単に言うと、しっかり左に重心を乗せることです。それができないと、回転がぶれてしまうんです。当たり前のことができなくなってしまう。
Q.2投目の感触は?
中林 あまりよくなくて、正直、風に助けられたかなと思います。ちょっと、ごっつぁんですね。次は、内容のともなった記録を出したいと思います。国体までには内容もよくしたいと思います。
Q.後半は?
中林 記録を狙いすぎて、投げ急ぎすぎてしまいました。こんなにいい風が吹いているのは珍しいので、今日のうちに記録を出さないと、という気持ちになってしまって…。元々、昨日までガタガタだったんで、欲張っちゃうと崩れやすいんです。それをしちゃった感じですね。
Q.ドイツ留学(1999年春〜2000年秋)で得たことは?
中林 円盤投って、“ホントはこういう競技なんだ”って感じました。高校・大学とコーチなしにやってきた円盤投と、ドイツ(ライプツィヒ)で目の当たりにした円盤投では、細かいところから見た目まで、全然違っていました。これが円盤投かと。とにかくでかいというか、力感が違います。ダンプカーがレースをしているような迫力です。スピードがある上に重いんですよ。日本はスピードがあっても軽いというか。細かい技術指導も受け、自分の中で近づけようとして、いい投げができることもありました。雰囲気もアットホームで、コーチは親のように思えますし、チームメイトは兄弟みたい。温かいんです。
Q.今後は?
中林 陸上を続けられたらという仮定の上ですが、最低でも60mを出したいと思います。身近に為末(大・400 mH世界選手権3位)とかを見ていますから、世界の舞台に出ていきたいと思います。世界選手権の標準記録が高くても、GPなど国際大会に出て、その中で世界選手権やオリンピックに近づきたいというのが目標です。陸上はヨーロッパでやるのが一番楽しいですね。毎日、楽しいと感じていました。
Q.60mも現実的な目標だと?
中林 出ない記録じゃないと思います。到達するノウハウはあると思いますし、僕でなくても出せるのではないかと思います。一番よくないのは、(日本人に60mは出せないと)特別視することです。(ドイツの)コーチにも夢の話でなく、現実の話として指摘されました。いい動きをしていると『その動きだ。その動きができれば60mだ』と。ただ、65mは無理だとも言われましたけど。特別視するレベルじゃないと思っています。時間と環境があり、努力していけば到達できると思っています。

中林将浩 1976年10月20日生まれ。187cm、93s。AB型。
 埼玉・熊谷高時代、インターハイは出場できなかったが、一般用の円盤では43m70で高校リスト3位。法大入学後は全国大会の常連となる。ドイツ留学(1999年春〜2000年秋)中の2000年春、54m05の日本歴代5位をマーク。
    年次ベスト 日本インカレ 日本選手権
1994年 43m70
1995年 46m70    7位
1996年 47m78    4位
1997年 50m58    5位     7位
1998年 48m70    8位
1999年 50m96           2位
2000年 54m05           2位
2001年 54m82           2位