2001/6/24
実業団・学生対抗全種目ショート記事
MVPには男子100 m大幅自己新の伊藤と
女子砲丸投パフォーマンス歴代2位の森

世界選手権代表は順当勝ち



 実業団・学生対抗は6月24日、18種目が平塚陸上競技場で行われた。具体的な気象コンディションが手元にないが、曇りで湿度がやや高く、微風のコンディション。
●男子100 mはスタートで飛び出した大槻康勝(富士通)を、最もインレーンの面高潤也(関学大)と伊藤辰哉(富士通)が追い上げ、最後は伊藤が出て10秒35(+1.2)で優勝。200 mでは今年で5年連続20秒台をマークしている伊藤だが、100 mは10秒48がベストだったので、大幅な自己記録更新だ。
●男子400 mは田端健児(ミズノ)が前半200 mを22秒3で通過。2レーンの田端に対し3レーンの邑木隆二(法大)はやや抑え気味。後半、邑木も反撃に出て、直線で追い上げを見せたが、田端が逃げ切った。記録は46秒55と46秒58だったが、世界選手権代表コンビが順当に1、2位を占めた。
●男子1500mは大塚製薬の今井功記が3分49秒90で、3分50秒73の徳本一善(法大)を抑えて優勝。今井は5月の関西実業団で2位に入っている選手だが、昨年は日本50傑にも入っていないニューフェイス。日本選手権、全日本大学駅伝選考会と1万mを2週連続で走った翌週だったとはいえ、徳本に勝ったのである。今後が注目される選手だ。
●男子110 mHは世界選手権代表の谷川聡(ミズノ)がスタートしてすぐにレースを中止。「練習でスタートを積極的に意識して、それが少しは(レースに)結びついた」という内藤真人(法大)が、向かい風1.1mの中13秒81で快勝。2位に0.32秒差で圧勝に近かった。
●男子3000mSCは岩水嘉孝(順大)がスタートから積極的にトップに立ち、前半で独走態勢に。1000mを2分45秒、2000mを5分38秒で通過し、フィニッシュでは2位に22秒19差の8分35秒17で圧勝。
●男子100 m+200 m+300 m+400 mRは、実業団1走の大槻がバトンパス直前に脚を痛めたらしく、失速。学生3走の邑木が実業団との差を広げ、アンカーにバトンが渡った時点では約6〜7m差。学生のアンカーは400 mH48秒台の千葉佳裕(順大)。これに対し実業団は世界選手権代表の田端健児(ミズノ)。田端が徐々に差を詰めると、最後の直線で逆転。実業団の優勝記録は1分50秒84で、大槻のアクシデントがなければ、1分50秒12の日本記録に迫っていたかもしれない。
●男子棒高跳は3人が5m40に挑戦したが誰も跳べず、菅野卓弥(順大)と木越清信(筑波大)(筑波大大学院)の優勝決定試技となった。5m40、35と2人とも越えられなかったが、5m30を菅野だけが成功した。
●男子走幅跳は、羽生悟(小島プレス)が1回目に8mを越える大ジャンプ……をしたはずだったが、巻き尺での計測の結果は7m41。その後、砂場脇に設置されていた距離表示(なんと言う器具でしょうか?)を審判が移動させていた。優勝は7m70(+1.6)の渡部容史(筑波大)で、関東インカレでマークした7m69の自己記録を1cm更新した。2位に7m50(+0.9)の羽生。3位には7m45(+1.5)で志田哲也(寺泊高教)が入った。「今日が20歳代最後の試合」と言う志田だが、6回目にファウルながら7m後半の好ジャンプを見せた。
●男子円盤投は藤原潤(八千代工業)が51m05でリードしていたが、最後の6回目に日本選手権優勝の畑山茂雄(ゼンリン)が51m43で優勝。
●男子やり投は宇土田実也(筑波大)が1投目に72m41でトップに立つが、2投目に村上幸史(日大)が72m87で逆転。その後、ファウルとパスを繰り返す村上に対し、宇戸田は4投目、5投目と70mラインをオーバーするが、一発がない。6投目も71m98と届かず、逆に村上が73m20と記録を伸ばして優勝した。
◆女子100 mは日本記録保持者の坂上香織(ミキハウス)が序盤から他を圧倒。11秒60(+1.6)で2位に0.35秒の大差をつけた。
◆女子400 mは矢野加奈子(七十七銀行)が300mまでリードしたが、ホームストレートで小林美佳(三洋信販)が逆転。55秒20で優勝した。今季好調の中川弥夏(龍谷大)が最後に追い込んで55秒38の2位
◆女子800 mは前日本記録保持者の岡本久美子(利府高教)が350m付近でトップに立ち、400 mを1分05秒で通過。600mは1分39秒、700mは1分55秒2。道浦陽子(貴志川中教)、大浦藍(京セラ)が追撃態勢を見せたが、岡本は最後の直線も粘りきって2分11秒31で優勝した。
◆女子100 mHは川上小百合、杉浦絵里の筑波大コンビ(杉浦は大学院)がワンツー。記録は13秒59(+1.0)と13秒76。4位にも筑波大OBの舟木香織(名城大付高教)が13秒97で入った。
◆女子100 m+200 m+300 m+400 mRは実業団(坂上・大草・矢野・小林)が学生を圧倒。2分09秒59で学生に4.74秒の大差をつけた。
◆女子走高跳は貞広千波(デンソー)と岩切麻衣湖(プレジャー企画)の中京女大出身コンビの対決が注目されたが、貞広が1m75を跳べずに岩切の一人舞台に。1m80、83と2回目で成功。先の日本選手権でマークした1m86の自己タイはクリアならなかったが、今井美希(ミズノ)&太田陽子(ミキハウス)の2強を追撃する下地を固めつつある。
◆女子三段跳は現在、花岡麻帆(office24)に続く国内2番手の座を固めつつある井原福代(スズキ)が、12m74(+0.9)で優勝。中大の後輩にあたる吉田文代(中大)が12m57(+1.3)で2位。一昨年、成田高3年時に出した自己記録の12m89が、そろそろ更新できそうな雰囲気になってきた。
◆女子砲丸投は、今大会行われた唯一の女子投てき種目。日本選手権で16m84の日本新を出したばかりの森千夏(国士大)が、自己2番目の16m54を3回目にプットして優勝。昨年までの日本記録を再度、上回ってみせた。
□対抗戦
実業団185.5点(男子95.5点、女子90点)
学 生163.5点(男子98.5点、女子65点)

 出場する選手によって得点は左右されるが、女子で実業団が圧勝していることが、最近の女子選手の頑張り(大学卒業後も頑張って記録を伸ばしている)を物語っている。
□最優秀選手
男子:伊藤辰哉(富士通)
女子:森 千夏(国士大)
□敢闘選手
男子:菅野卓弥(順大)
女子:坂上香織(ミキハウス)
□最優秀新人選手
男子:中原丈晴(龍谷大)
女子:岩切麻衣湖(プレジャー企画)


※3選手(森、内藤、岩水)の記事を予定していますが、書けるかどうか……