2001/5/24 東アジア大会2日目
怒りの会見4題

杉林孝法
「6本目は何とか(16m)40台を跳びましたが、怒りのパワーです」
 記者会見でこう話し出したのは、男子三段跳の杉林孝法(ミキハウス)だった。F−F−15m26(±0)−F−F−16m45(±0)の内容。
「助走に問題があり、それを直すために(助走)距離がコントロールできず、不安定になっていました。マークを下げてもまた、助走が伸びてしまってファウルしてしまう。今年は試合毎に1mずつ波がありますが、助走が原因です」
 6回目の16m45でいったんはトップに立ったが、顧俊傑(中国)に16m56(+0.9)を跳ばれて逆転されてしまった。だが、そんなことはどうでもいい、と言わんばかりに、自身への怒りを口にした。
「5回目までがとても不甲斐なくて、自分自身に腹が立ちました。6回目はとにかくファウルをしないように、思い切って50cmマークを下げたんです。つぶれてもおかしくない跳躍でしたが、怒りのパワーでなんとか踏ん張りました」


今井美希
「最初のひと言は“すいません”です。2試合も3試合もB標準の92で」
 こう切り出したのは、女子走高跳に1m92で優勝した今井美希(ミズノ)だ。何かに怒っていたわけではないが、杉林同様、自身への憤りが感じられる会見だった。
 これで5月に入って6日の水戸国際、12日の国際グランプリ大阪に続いて3試合続けての1m92。A標準の1m95(=日本タイ)にも3試合続けて失敗したことになる。
「95の1本目はそれまでと同じように跳べたんですが、2本目からは間の時間をおくようにしたのですが、かえっていろいろなことを考え過ぎてしまって、ダメになってしまいました。今、調子がよくてすごく動けているんです。それで踏み切り位置が近くなって跳べなくなって、1本1本、(マークの位置を)下げているんです」
 この日は太田陽子(ミキハウス)は1m80にとどまり、ともにA標準未突破のまま日本選手権に挑むことになった。


朝原宣治
「まさか10秒4台だとは…。タイム的にも順位的にも不満です」
 男子100 mディフェンディング・チャンピオンの朝原宣治(大阪ガス)は、スタートでやや出遅れ、後半も朝原らしいノビが見られなかった。10秒44(±0)で3位という結果に、怒りというよりも戸惑いを隠せなかった。前日の予選は、向かい風0.6mで10秒39(2組1位)だったのだ。ちなみに、今回が3回大会の東アジア大会は、これまで100 mレースが全て追い風参考だったため、大会記録がなかった。1組トップのチェルノボル(カザフスタン)と朝原の10秒39が、仲良く大会記録となったのだが…。
「昨日の予選はスタートからの立ち上がりと中盤までがよくなくて、後半はまあまあでした。ビデオを見て修正して、技術的には昨日よりよくなっているはずだと思って(決勝に)臨みましたが、走り出してみると途中からよくなくて、後半はバラバラでした。これまでも数回、このような調整ミスは経験したことがありますが、狙った試合でこういうミスは残念です」
 これで朝原も、100 mに関してはA標準未突破で日本選手権に臨むことになる。


丸小野仁之編
「満足できる種目は1種目もありません。まあまあは走高跳と円盤投。あとは10点満点でも0点です。総合的には10〜20点くらい」
 これまた自身に厳しい評価を下したのは、十種競技で7416点で3位だった丸小野仁之(白石保養院)だ。自己記録の7713点(日本歴代3位)からは約300点の差があったが、2日間とも雨が降ったりやんだりするコンディションを考えれば、それほど悪くないとも思えたが、本人の意識は違ったようだ。
「何年か前に(2位の)ヤルキン(カザフスタン)とは戦ったことがあるんです。今回100点以上も離されて、僕にもやれることがたくさんあることを、痛感させられました。去年はもうそろそろ(引退)かと考えましたが、今はやる気が出てきました。日本選手権ではっきり決めたいと思います」