2001/5/23 東アジア大会
横山、5m60の好記録も
“不本意な”クリアランス


 5m60で今大会日本人優勝者第一号となった横山学(百十四銀行)だが、記者会見では「あのような跳躍で…」というコメントが、再三、口に出た。
 横山が言っているのは、5m50と60の成功試技のこと。バーを揺らしながらも、腕で押さえつけるようにしてバーが落ちなかった試技だ。このようなケースでは、審判員の判断で明らかに失敗と判断されれば、無効試技となることもあるが、今日の横山は、そこまでにはとられなかった。
「ポールがしっかり曲がっていないときに、あのような跳躍になるんです。数字としてはいいんですが、中味がよくないということ。いいトレーニングをすることが、いい結果につながるはずで、(今日のように)内容が伴わない跳躍では、日本記録の上、5m80、90を目指すことはできません。素直に喜べないですね」
 横山が昨年、日中対抗室内で5m60の室内日本新をマークしたときも、同様の不本意な跳躍だったのだ。

 “数字としてはいい”というのは、こういうことだ。5m60は自己3番目タイの記録。日の丸をつけた国際大会では、自己最高でかつ日本人最高記録だ。また、横山自身が雨の中で出した最高記録は、96年の日本選手権(場所は今回と同じ長居)で出した5m40だったのだ。
 5m70の日本記録をマークした昨年ほど、トレーニングは順調ではないとしながらも、5m71のバーに対したときの感想は、「高さへの特別な感じ方はなかった」と言う。

 96年の日本選手権は優勝しながら、標準記録を跳んでいなかったため、代表にはなれなかった。横山にとって、精神的な“バネ”となった大会だ。5年前と同じ競技場で、不本意な跳躍ながら記録を出してしまった今日の跳躍は、横山の何になるのだろうか。