2001/5/20 関東インカレ
内藤が学生新の13秒69!!
世界選手権A標準突破だが、勝ったことにも意味が大
2位の山田も13秒72と谷川の記録を上回る


 男子110 mHは、山田真利(筑波大4)が抜群の飛び出しを見せてリードした。昨日の準決勝こそ向かい風2.5mで14秒03にとどまっていたが、後続につけた大差から、山田にも谷川聡の学生記録(13秒76)更新の可能性はあると思われた。
 対する内藤真人(法大3)は、スタートがよくない。「最初はいつも通り、負けたかと思いました。あそこまで行かれるとは」と振り返ったほどの差をつけられた。
 しかし、今季の内藤は春季サーキットなど、日本のトップレベルでもまれてきた経験がある。それが、昨年までとの違いだった。
「焦りは全然ありませんでしたし、冷静でした。準決勝は記録狙い(13秒77で学生記録に0.01秒と迫る)でしたが、決勝は記録と勝つことの両方を意識していました」
 中盤で差を詰め、8〜9台目で並ぶと、最終ハードルは僅かにリードした。
「競り合った分、速く走れたのかもしれません」
 ランニングタイマーは13秒65で止まった。正式計時は13秒69と、0.04秒も違ってきたが、風も「+0.3」で、学生新どころか世界選手権A標準の13秒70突破も果たした。この種目ではシドニー五輪代表の谷川、歴代2位の桜井健一(ミキハウス)に続き、3人目のA標準突破だ。

 世界選手権代表入り、ということを考えると、内藤がこの日、終盤の競り合いを制した点は大きい意味を持ってくる。
 日本陸連の代表自動内定システムによれば、日本選手権3位以内で自動的に内定する条件は「A標準突破者で東アジア大会優勝者」と「今季の選考会でA標準を突破した選手」。実はこの種目のA標準突破者は3人とも、選考会以外でのA標準突破者なのだ。そういった選手が自動的に内定するには、日本選手権で「優勝」するしかないのだ。
 仮に、山田のようなB標準突破者が優勝したら、全ての判断は陸連理事会・評議員会に委ねられる。つまり、1人だけを代表にするならB標準突破者を代表にする可能性も、否定できないのだ。
 そういった事情もあり、110 mHのA標準突破者は、“勝てる”選手であることが求められるのだ。