2001/5/19 関東インカレ
内藤、準決勝で学生記録に0.01秒と肉薄!!
13秒77の学生歴代2位
「5〜7台目までがうまく乗れました。A標準(13秒70)を狙っています」
風が強い日だった。横浜国際競技場はスタンドがホームストレートだけでなく、トラックの四方をぐるりと囲んでいる(サッカー・ワールドカップの決勝が行われる競技場なのだから当然だ)。それも、2階席まである高いスタンドだから、かなり風を遮断できるようだ。スタンドの裏側に出ると、目を開けていられないくらいの強風だが、内側に入るとそれほどではない。だが、午後になるとフィールドでつむじ風も見られた。
今大会、個人種目で学生新が期待されている種目の1つに110 mHがある。
その準決勝第1組は、山田真利(筑波大)が後続を大きく引き離し、「これは好記録だ」と思わせたが、なんと向かい風2.5m。同じ時間、ホームストレート外側のピットで行われていた走幅跳は、フィニッシュライン方向に向かって走っていたが、ほとんどが追い風だったのに、である。
続く2組には、今季13秒84を2回出している内藤真人(法大3)が登場。その内藤がフライング。2回目のスタート。抜群、というものではなかったし、スタンドからはやや遅れ気味にも見えた。
「自分としてはいいスタートが切れました。元々、スタートよりも1台目を越えてから、2台目までの加速に重点を置いています」
中盤を過ぎると、グンとリードを広げた。
「今日は5〜7台目がうまく乗れました」
フィニッシュでは後続を3mほど引き離していた。ランニング・タイマーは13秒77で止まった。学生記録は、谷川聡(ミズノ)が筑波大の院生だった98年に出した13秒76だ。正式計時が13秒76以下になる可能性も、なくはなかった。だが、13秒77と変わらず。
「(フィニッシュの瞬間)自己新は出た感触がありましたが、この条件なら、もうちょっと出したかったです。苅部(俊二・法大コーチ)さんとも、準決勝は(世界選手権)A標準(13秒70)を狙おうと話していたんです」
内藤は昨年すでに、13秒85と日本リスト8位の記録を出している。
「去年の秋には、やっと全日本クラスの決勝に残れるようになりましたが、それで満足していました。冬からユニバーシアードは狙っていましたが、今シーズン最初のレースで14秒02が出たんです」
そのとき、先輩の為末大から、「今年は世界選手権に挑戦しよう」と言葉をかけてもらった。ふだんは「明るい話」をすることが多いが、このときはかなり真剣な話だった。
4月29日の織田記念は、向かい風に雨という悪条件の中で13秒84の自己新が出た。5月12日の国際GP大阪は、「1台目から加速に乗れず、ちんたらした走りで、14秒台前半だと思っていた」が、13秒84の自己タイだった。
早ければ明日(5月20日)の決勝で、学生新のアナウンスが聞かれるかもしれない。1部110 mH決勝は、14時50分スタートだ。