2001/4/29
大牟田高コンビが5000mでワンツー
勝ったのは高校駅伝優勝メンバーでない村上



 西日本ジュニア男子5000mAレースは、予想通り大牟田高の大津聖が飛び出した。別表のような速い入りで、一時は後続に10〜20m差をつけ、独走に持ち込むかとも思われた。大津は昨年のインターハイ5000m5位。全国高校駅伝優勝の大牟田高にあって、2年生ながらエース区間の1区を務めた選手で、その後のクロスカントリーでも活躍。福岡国際クロスカントリージュニアの部優勝、世界クロカンでも14位(日本人トップ)で、2001年の高校長距離界注目の選手なのだ。
 しかし、ペースが落ち着くとチームメイトの村上幸一が徐々に差を詰め、終盤は一騎打ちに。そして最後の直線。大津がエースの意地で競り勝つのではないかと思われたが、村上が胸一つ先着した。「今季第一戦の1500mで3分53秒台の自己新を出している」と言う村上のスピードがものをいった…のかもしれないし、ハイペースによる消耗戦となったのだから、前半で無理をしなかった分、村上のスタミナが残っていたのかもしれない。1500mの持ちタイムだけを見て、スピードがどちらの選手の方があるからラストは強い、という単純な結論の出し方は、どうかと思う。
 タイムは村上が14分15秒72で、大津が14分15秒85。自己記録は村上が14分19秒29で大津が14分10秒06だった。
 ところで、この村上だが、昨年の全国高校駅伝優勝メンバーに入っていない。しかし、タイム的には前述の記録で、チーム内で3番手の選手。インターハイ北九州予選では、大津に先着しているほどの選手だった。
 ところが、駅伝シーズンは故障に悩まされた。全国大会は間に合って、レース前日のメンバー提出の際は2区に名前があった。しかし、その後、左くるぶしの上に痛みが出たため、大会当日朝にドクターの診察を受け、選手交替となった経緯がある。つまり、自校の優勝を、非常に複雑な気持ちで見守った立場だった。
 この時期、大牟田勢が高校生のトラック・レースで上位を占めるのは珍しくないが、その村上が、あの大津に勝ったことに、昨年の経緯を顧みると価値があるように思う。
 大津に13分台を狙っていたのかを質問すると「体調はよくなかったので、14分10秒台が出ればいいと思っていた。タイムにはビックリです」との答え。どうやら、あまりタイムとかを気にせず、最初から思いっきりガンガンいくタイプのようだ。その点、村上の方が、それに無理をしてつかず、計算した走りをしたように見えた。これも、決めつけるのはよくないが。
「今年は5000mで14分台ひと桁。インターハイは留学生選手と張り合える走りがしたい」と言う大津に対し、村上は「入賞できれば」と、ほんのちょっと控えめだ。昨年の実績を考えれば当然とも言えるが、この日勝ったのは、村上である。

西日本ジュニア5000mトップの通過&スプリット・タイム表
距離 通過 400毎 1000毎 残り距離 所用タイム
400 1.04. 1.04.
800 2.11.1 1.07.1
1000 2.45.5 2.45.5
1200 3.19.3 1.08.2
1600 4.28.1 1.08.8
2000 5.37. 1.09. 2.52.
2400
2800 7.54.5 (2.17.5)
3000 8.29.5 2.52.5
3200 9.03.9 1.09.4
3600 10.13.0 1.09.1
4000 11.23.2 1.10.2 2.53.7
4200 11.58.0 800 2.17.7
4400 12.32.6 1.09.4
4600 13.08.1 400 1.07.6
4800 13.43.0 1.10.4 200 32.7
5000 14.15.72 2.52.5
記録が秒単位のものは通告、10分の1秒単位は寺田計測、100分の1秒は正式計時。2400mは女子ハンマー投鈴木文の5投目と重なって計測できず