2001/2/25
横浜国際女子駅伝  
ロシア、2位・日本に3分23秒差の圧勝!!
過去の最高記録を1分以上も上回る桁違いの強さ
日本の見せ場は1区・上野の区間賞のみ


全区間結果一覧(1〜8位)(112KB)
   〃   (9〜17位)(98KB)

 ロシアの勝因は、強かったことだ。どんなレースでも言えることだが、強い選手が力を出し切れば勝てる――陸上競技とはそういうものだろう。
 ロシアは1区こそ区間6位だったが、2区のペトロワが1.4kmで近畿選抜・西村みゆきとともに日本・高橋千恵美(日本ケミコン)をかわすと、4kmから西村も引き離し始めた。あとは、独壇場だった。2区から6区まで全員が区間賞。2区ペトロワは1万m31分42秒38、3区ザトロフナイアは5000m14分58秒26、4区トマチョワは同14分59秒13、5区グリゴリエワは1万m31分21秒95、6区エゴロワは5000m14分42秒58。これらの選手が額面通り走ったら、日本がどんなメンバーで挑んでも、ちょっと勝てなかっただろう。
 ロシアの優勝タイムは2時間12分50秒。この大会は総距離に変わりはないが、97年大会から一部の区間の距離が変更されている。96年に日本が出した大会最高記録は2時間14分15秒。コース変更後は99年日本の2時間15分06秒。今回のロシアのすごさがわかる。
 つけいる隙があったとするなら、2区だった。高橋千恵美が完調であればここでトップを譲らなかったかもしれない。すると、その後の展開も変わってきたかもしれない……とは、駅伝の記事ではよく書かれることだが、今回のロシアに限っては、どんな展開でも勝っていただろう。川上優子(沖電気宮崎)が完調で、鈴木博美(積水化学)が完調で、千葉真子が完調で、弘山晴美(資生堂)が完調で、志水見千子(リクルート)が完調で、高橋千恵美が完調だったら、勝てる可能性があるが、6人全員が完調というのは、過去のオリンピック・世界選手権を見ればわかるように、不可能に近いのだ。
 今日のロシアはちょっとした展開の違いでゴールタイムが変わっていたとは思えない。それくらいの強さを感じた。


1区・上野、初のナショナルチームできっちり仕事
「今年はトラックで世界選手権に」

 1区(5km)の4km手前で上野理恵(積水化学)がするするとリードを奪い始めた。特にスパートしたわけではなく「気づいたら前に出ていた」ということだが、テレビ画面を見る限りペースを上げたのは明らかで、潜在意識としてはスパートしていたのかもしれない。
 レース前に上野がラスト1kmとイメージトレーニングをしていた可能性もあるが、過去のレースで4kmから日本選手がリードしたシーンが頭にあったのかもしれない。
 あるいは、レース前日のミーティングで、同郷(熊本)の先輩・川上優子(沖電気宮崎)から「1区って重要だよね」と、プレッシャーをかけられたことで、勝機を見極める感覚が鋭くなっていた可能性もある。
「トラックだったら後半で潰れても自分の責任ですが、駅伝で潰れたらあとの区間まで影響が出ます。前半はわりと慎重にいきました。手術(昨年4月に足低筋膜炎)後、レースの回数も少ないですし、練習も納得できるほどつめていないので、不安はありました」
 最後の1kmで区間2位に7秒差をつけたのは、さすが99年ユニバーシアード5000m金メダリスト。全盛時の力に戻りつつある。
「今年の世界選手権はトラックで狙おうと思っています。まずは確実に5000mの自己記録(15分28秒73)を出したいですね」
 高橋尚子(積水化学)は4年前のアテネ世界選手権に5000mで出場しているが、高橋はそのとき、すでに初マラソンを経験済みだった。上野にはまだマラソン経験はない。
「私的にはまだ、トラックで納得いっていないので、マラソンはまだ考えていません。トラックを私なりに走れたとき、考えてみたいと思います」

渋井陽子のレース後コメント
「走り出したら体が動かなかった」


――今日の走りがどんな状態だったか、そして感想をお聞かせください。
渋井 前とはけっこう離れていましたが、少しは見えていたので、追っていくつもりでした。でも、走り出したら体が動かず、いい結果を出せませんでした。
――30秒差とかだったら走りも違っていた?
渋井 今の状態だったら、無理だったと思います。
――目標タイムはどのくらいだったのですか?
渋井 特に決めていませんでしたが、ここまで動かないとは思っていませんでした。せめて、32分20秒は切りたかった。
――途中ではどんな状況だった?
渋井 今日はマラソンよりきつかったですね。最後はロシアが全然見えず、沿道からは(差は)1分30秒とか1分40秒とか言われて、「全然、つまってない」と思いながら走っていました。ラスト500mだけ、切り換えたら動くことができました。
――マラソンから4週間ですが、その影響はありましたか? 疲労感とか。あるいは、練習にそれらが出ていましたか?
渋井 マラソンの疲れかどうかわかりませんが、スピード練習が久しぶりで、期間も2週間でつめてやったので、その疲れが出たときにレースがあった、という感じです。
――1年前のこの大会との違いは?
渋井 去年は1月の全国(都道府県対抗)女子駅伝のあと、この大会を重視して1カ月かけて調整してきましたが、それに比べると今回は集中できませんでした。ただ、沿道の皆さんからの声は、全然違っていました。