2001/11/4
全日本大学駅伝
レース直後のコメント集
駒大・揖斐祐治 神屋伸行 高橋正仁 松下龍治 松村拓希
法大・徳本一善
順大・野口英盛
1区14.6km 2区13.2km 3区 9.5km 4区14.0km 5区11.6km 6区12.3km 7区11.9km 8区19.7km
※読者の皆さんへ重大な注意点:全日本大学駅伝は記者会見がセッティングされていません。掲載したコメントは、他の記者と話している途中から寺田が加わったものもあります(松下、徳本選手は特に部分的にしか聞けていません)。本サイトで紹介しているコメント以前の流れを踏まえながら、選手は話をしているわけです。その点を考慮したうえでお読みください。
ちなみに、駅伝で公式会見が行われるのは(寺田が知っている範囲では)、全日本実業団駅伝、同女子駅伝、箱根駅伝の優勝チームだけです。淡路島女子駅伝も優勝チームの会見がありました。その他は、フィニッシュ後や閉会式の前後に、記者が独自の動きで選手・指導者のコメントをとっているのが現状です。話の頭から聞くことができることの方が少ないのです。
3区揖斐祐治(4年)
区間1位 27分46秒
2位→1位
「神屋とつなぐのは最初で最後。『ぶっちぎれ』と声をかけて渡しました」
Q.神屋君とタスキを渡したのは初めて?
揖斐 神屋とタスキをつなぐのは、最初で最後。「ぶっちぎれ!」と声を出しながら渡しました。絶対に勝つんだ、という気持ちを込めました。これまで1回も(直接)つないだことはなかったので、4年間一緒に頑張ってきた仲間として、1回はつなぎたい気持ちがありました。
Q.3年連続の区間賞ですが。
揖斐 タイムがあんまりよくないので満足はしていませんが、チームにおける仕事ということでは、ある程度できたかなと思います。
Q.順大の三大駅伝の連勝を止めました。
揖斐 これ以上、順大に勝たせちゃいけないと思っていました。これから箱根駅伝に向かう姿勢としても、チームが沈んだ状態ではダメなんです。箱根に向けて絶対に勝たなきゃいけない試合だったんです。
Q.涙が出ているようですけど、その意味するところは?
揖斐 2年生の箱根以来、駅伝でどうしても勝てません。正仁とかと(今年の)箱根のあと強いチームなのになんで勝てないんだろうと話して、必死でやって、やっと勝てたんです。すごく苦労して、走りを万全にしたつもりでも勝てない。(今年10月の)出雲なんかでも、どうしても勝てませんでした。個人の走りでもチームに迷惑をかけたので、今回はどうしても勝ちたかったんです。正仁がチームを盛り上げて、4年生が率先して盛り上げようとやってきました。正仁がすごくいい仕事をしてくれるので、それをフォローしました。
Q.箱根ではどの区間でどんな走りを?
揖斐 4区あたりできっちりと走りたいと思いますが、区間はどこでも、自分の仕事をするだけです。
4区神屋伸行(4年)
区間2位 40分44秒
1位→1位
「正仁の状態がいいことと、作戦的なものもあって(4区に)決まりました」
Q.4区と決まったのはいつ?
神屋 2週間くらい前からアンカー(の可能性)はなくなりました。自分の状態がよくなく、それに対して正仁の状態がよくて、作戦的なものもあって決まりました。なんとか区間賞を取りたかったんですが…。
Q.揖斐君とは初めてのタスキリレー?
神屋 揖斐とは初めてです。最初で最後でしょう。4年間の思いを込めてリレーしました。このチームで負けるはずはないんですが、出雲でも勝てていません。最後に正仁がいい走りをして、勝ててよかった。2年前の箱根以来ですから、久しぶりです。
Q.走り自体は?
神屋 個人的には反省がありますが、タイム的には設定通り(従来の区間記録に2秒差)だったんです。原田にやられてしまいましたが…。
Q.アンカーだった出雲で、岩水(嘉孝・順大)君に終盤一気にやられてショックだった?
神屋 ショックというよりも、体調が良くなくて…。今もまだ、あんまりよくないんですが。アンカーを代わってもらった正仁に感謝したいし、全員に感謝したいです。
どこかが悪いというわけではなく、疲れがとれない感じです。3年生からずっとそうだったようなんです。出雲でもずっと、重い、重いと感じていました。今日は、久しぶりに少しよかったですね。チームの流れを断ち切らずにすみました。坂井(順大)に詰められたらやばかったんですが。
Q.箱根に向けて?
神屋 ウチのチームは乗ると、ぼんぼん乗っていける。この勢いで箱根までいきたいです。今回カバーしてもらった分、箱根では役割を果たしたい。
8区・高橋正仁(4年)
区間3位 58分23秒
1位→1位
「個性派揃いのチームですから、その個性を生かしながらどうまとめるか」
Q.前半型のオーダーで不安はなかった?
高橋 なかったですね。神屋があそこ(4区)にいて、やってくれると思っていました。本来なら神屋の区間を走って優勝できたことで、これでまた神屋が調子を上げれば(箱根駅伝が)面白いと思います。
Q.箱根駅伝のように追い上げる展開と、今日のような逃げる展開では、どちらが得意?
高橋 前にいたら追い抜こうとするだけですし、1位で来たら逃げ切ることが大切です。チームがここまでタスキをつないでくれること自体を信頼していたので、一歩でも早くゴールすればよかっただけです。(3区で揖斐が)トップに出た時点で、「今日は駒沢が勝てる」と思いました。
Q.出雲の負け方は、尾を引いた?
高橋 あのレースは後手後手に回ってしまいましたが、あそこで負けて逆に、チームが1つになりました。口惜しいというよりも、「伊勢では絶対に勝ってやるんだ」、と意を強くしました。今年は3冠をしたいと思っていました。それができるチームだと思っていたので、(それが最初でできなくなってしまい)口惜しかったです。
Q.3冠ができると思ったのは、箱根駅伝が終わった時点で主力を含めて、メンバーが多く残ったから?
高橋 そういう部分もありましたが、直接見ている前で3冠をやられて、それが口惜しかったことが大きいですね。
Q.結果が出ずに焦りが出た?
高橋 ビビっていたところがあったと思います。思い切ったレースができませんでした。それがここに来て、練習でも思い切ってできるようになり、レースでも体がついてくるようになりました。出雲は消極的になっていたところがあったと思います。
Q.順大の怖さを感じていた面も?
高橋 順大さんも強いですから。レースの主導権を握った方が勝つ。その点で、今日は2区の松下あたりでウチのレースになったと思います。
Q.キャプテンとしてどんな部分が大変だった?
高橋 個性派揃いのチームですから、その個性を生かしながらどうまとめるか、という点です。走りの個性もありますし、人間としての個性もあります。口で何かを言うのではなく、練習や普段の生活のなかで、行動で引っ張るようにしました。僕自身、神屋、揖斐、河村に頼っている部分もありますし、4年生全員がキャプテンです。
Q.箱根ではどんな走りを、どの区間で?
高橋 今日もエース区間を走りましたから、もう1回エース区間を走りたいですね。岩水、カリウキが相手でしたが、自分の走りをすれば勝てると思って走りました。(だから)後ろは1回も振り返りませんでした。
Q.箱根のエース区間はどこを指す?
高橋 2区と9区じゃないですかね。
Q.チーム内のエース区間争いも熾烈なのでは?
高橋 人に頼るチームでは強くなっていかないんです。(全員が)自分が引っ張るんだと思ってやれば、チームは強くなります。1人1人がそう思っているところが、ウチの強みです。同じ学年に必ずライバルがいて、それに追いつけ追い越せ、で頑張る。それができたらまた、別の人を目標にする。このまま(箱根まで)、いい状態が続けばと思います。
2区・徳本一善(法大・4年)
区間2位 38分14秒
5位→1位
「1回はチームで一番上に立ちたい」
Q.徳本選手にとって駅伝とは?
徳本 個人種目では味わえない魅力があります。それが具体的にどういうことなのか、まだよくわからないんですが、なぜか駅伝をやりたいと思うんです。これから先、実業団で競技を続けていく上で、駅伝をやりたいと思えばやりますし、個人は個人で世界を目指そうと思えば、そういう努力をします。
駅伝の魅力に取り憑かれたからには、1回はチームで一番上に立ちたいですね。僕も4年生で最後ですが、こいつらとしか、今のメンバーでしか駅伝をやる気はありません。よかったねと言われるよう、頑張りたいと思います。
7区・野口英盛(順大・4年)
区間1位 34分26秒
4位→3位
「箱根駅伝は4年生5人で勝てるわけではありません」
「走り自体、あんまり良くなかったですね。出雲できっかけを掴んだつもりだったんですが、ダメでした。次は(箱根まで)2カ月で仕上げていかなければなりません。明さん(仲村明監督)には苦労をかけてしまうと思いますが、キャプテンなので自分もしっかりしないといけません。
今日は後手後手に回って、追い風のところを生かせませんでした。箱根なら2分差でも何とかなる気がしますが、全日本は1分差でいかないと、アンカーで追いつけません。
箱根駅伝は4年生5人で勝てるわけではありません。下の奴らも伸びていますし、総合力の中で5人が、いかにいい働きをするかです」