2001/12/27
箱根駅伝展望 各大学最新取材
順大 共同取材
エース岩水に故障発生、箱根出場は今後の経過次第
岩水、野口、仲村監督との一問一答

  12月27日、前回優勝の順大の共同記者会見が行われた。順大佐倉キャンパスの教室に報道陣が一堂に集まり、そこに選手が2〜3人のグループに別れ、交替で入ってきて記者の質問に応じる形式。2番目のグループに登場した岩水嘉孝(4年)が、12月17日から故障で練習できていないことを話すと、会見場が色めきたった(というと多少、オーバーかも)。
 以下に、岩水との質疑応答の全てを再現した。
 

『三代さんよりいいタイムで練習していたのですが…』(岩水)
Q.今の体調と、抱負をお聞かせください。
岩水 17日から脚をちょっと痛め、今、必死でリハビリに取り組んでいるところです。なんとか箱根までに間に合わせたい。今の段階では、目標はスタートラインにつくことです。
Q.どこを痛めたのですか。
岩水 座骨神経の周辺の肉離れだと思います。右脚のハムストリングの上、付け根あたりです。痛みがなければ走れると思うので、今は持久力を落とさないため水泳とエルゴメーターでトレーニングを続けています。
Q.座骨神経痛そのものではなくて、肉離れなのですか。
岩水 座骨神経には異常がありませんでした。
Q.初めてのケガ?
岩水 初めてです。こういった痛みは。
Q.痛みが出たのは練習中?
岩水 16日のポイント練習が終わってからです。そのときは筋肉痛だろうと思っていたんですが、翌朝、ジョッグをやっていて、おかしいなと感じました。
Q.ポイント練習はどんなメニューだったのですか。
岩水 5kmを3本です。
Q.どんなタイムで?
岩水 14分30秒を切るくらいです。
Q.3年前に三代(直樹・富士通)選手がやったメニューと設定タイムですね。
岩水 三代さんよりいいタイムで練習しようとしました。1本目は三代さんより悪かったのですが。そのときまで絶好調でしたし、箱根駅伝の設定タイムをクリアするために必要不可欠な練習でした。
Q.痛みが出たときの状態を詳しく説明していただけますか。
岩水 ポイント練習をやった翌朝は、疲労度を必ずチェックするんです。そのときは、焦りよりもまず、“(沢木)総監督に連絡しないといけない”と思いました。そういった場合、連絡するのが鉄則ですから、冷静に、総監督に電話をしました。
Q.どんな精神状態でしたか。目の前が真っ暗になるとか、頭の中が真っ白になるとか、選手はよく言いますが。
岩水 そのときはすぐ治ると思っていたので、余裕がありました。さすがに1週間、走れない状態が続いた今は、“まずいな”っていう危機感を感じます。ですが、自分のタイプからして、痛みさえ消えれば、ある程度の刺激(練習)をやっておけば、レースも走れると思います
Q.行ったのは順大病院ですか。
岩水 まずは順大病院です。あとは色々と。
Q.どんな治療を?
岩水 治療といえる治療はしていません。リハビリが中心です。
Q.黙っている選択肢もあったと思うのですが、あえて公表した理由は?
岩水 総監督に相談したら、『現状をちゃんと話しておけ』という指示でした。

  駅伝主将の野口英盛にも、岩水の故障に関する質問が相次いだ。以下は、岩水に関する部分のやりとりを抜粋したもの。

Q.岩水君のケガはチームにどんな影響を?
野口 非常に痛いです。一番の柱ですから。もしも走らないことになったら、もう1人の選手を使わないといけない。新しい選手にも声をかけるなどして、全員でチームをまとめないといけません。岩水の分は、自分の走りでなんとかしたい。
Q.チームは“どうしよう、どうしよう”という感じなのか、まとまりつつあるのか、どちらでしょう。
野口 2区を岩水が走った場合のタイムを想定して練習してきましたから…。内心“どうしよう”という部分はないですけど、チーム的には厳しくて“どうしよう”という部分が、ないとは言えません。4年生はここにきて、“岩水の分まで”という意識は出てきています。
Q.岩水君が抜けたら、勝てる戦力だと思いますか。
野口 どうでしょうか。岩水が走らないとなると、向こうにミスが出ない限り勝てないのでは。あとは、2区の選手のプラスマイナスがどう出るか。そして往路が終わった時点でどのくらいの差があるか、ですね。今年は復路が手薄になるので、往路で勝っておかないと…。往路優勝を復路につなげられれば、総合優勝も見えてくるかもしれません。

  最後に、今年から沢木総監督に代わって陣頭指揮をとる仲村明監督が、会見した。以下は、岩水に関する部分の抜粋したもの。

『順調に回復すれば2区、1日でも時間が必要なら復路。最悪使わないケースも』(仲村監督)
Q.岩水君のケガについては?
仲村監督 1週間前までピシッとトレーニングできています。こちらが思った通りの回復をしてくれれば、本番は間に合うと思っています。それまでに積めていくものがなければ、危機的な状況になります。あとは、本人の持っている力と、ハートの部分、そしてスタッフのフォローでどこまで回復できるか。センスはある選手なので、この1週間でどういった調整ができるか、1週間を休養と考えられるかどうか。こういった場合、疲れがとれて試合で結果を出せることも、なきにしもあらず、です。
Q.監督就任1年目で、大変な状況ですが?
仲村監督 沢木総監督がいなかったら、お手上げだったかもしれません。去年、野口が同じように12月に体調を崩し、なんとか立て直した前例があります。それに、大なり小なり、どこの大学も同じようなアクシデントは抱えていると思います。スタッフはこれから10日間が、今からが本当の勝負です。レース当日は選手がどう走るかですが…。ここでねをあげてしまったら、どうしようもありません。
Q.ケガの原因はどこにあるとお考えでしょう?
仲村監督 脚力不足、ですかね。それと、過酷なスケジュールをこの半年間、いえ、去年の箱根駅伝から1年間、パワフルにこなしてきました。下地がないところを、能力でカバーしてきた部分があります。(レースの)間、間で土台を作ってきましたが、十分ではなかったということです。座骨は、脚力がないともろにきますから。
Q.起用法はどう考えていますか。
仲村監督 順調に回復すれば2区がいいわけですし、1日でも時間が必要であれば復路になります。最悪使わないようなケースもあり得ます。
Q.三代選手の練習でのタイムと遜色なかった?
仲村監督 12月の頭までは三代を凌駕することも可能と、こちらは判断し、“岩水2区”と、情報を公開していました。
Q.チームの雰囲気はどうなりましたか。
仲村監督 慌てた雰囲気ではないですね。3年前の三代のチームでそうなったら、“こりゃ大変”となりますが、今回は十分にカバーできます。4年生はみんな、他の大学のエースと対等に勝負ができます。選手個々は、与えられた役割をしっかり果たすことに専念しています。その中でも4年生は力がありますから、(自分の区間で)流れを作るための努力をしています。

※区間エントリーは12月29日まで正式決定ではありません。区間に言及している部分もありますが、あくまでも現時点での予想であり、変更されることもあることをご了承ください。