陸上競技マガジン2000年1月号別冊付録「箱根駅伝パーフェクトガイド」
オリンピック出場選手から箱根戦士へ
取材:11月末
<末續慎吾>
正月、箱根駅伝はいつも見ていました。熊本は九州一周駅伝とかも通りますし、駅伝には関心がありましたよ。大学は駅伝が盛んだなって思って、テレビを見ていました。
1年生の時、箱根駅伝のアルバイトをやってるんです。鶴見の中継所でやったんですが、タスキを中継したときのタイムを本部に送ったりする仕事です。近くで見ると迫力ありますね。それに、東京から自分たちが住んでいるところまで走って来ちゃうんですから、すごいですよね。
あんなにテレビに映ったり応援されたり、うらやましいですけど、それだけの苦労をしていますからね。箱根は簡単に出られる試合じゃありませんし…。オリンピックとは全然違う種類の大会ですけど、選手にとって特別な試合という点では、同じかもしれません。その大会にかける気持ちっていうのは、一緒なんじゃないですかね。
前回は往路で東海大が2位になって、あれにはビックリしました。今年は実家でテレビを見ると思いますが、同学年の米田も強くなってますし、頑張ってほしいですね。
自分もケガはもう治って、バンバン練習しています。今日も伊東(浩司・富士通)さんと走ってきました。
<川畑伸吾>
2年生、3年生と箱根駅伝の補助員をやってるんです。酔っぱらいとかいて、大変なんですよ。2年の時は鶴見の中継所で道路整理員です。おばさんたちには長距離の補欠選手と間違われて「来年は出られるように頑張ってね」なんて言われました。
3年生では茅ヶ崎です。補助員は応援できない規則なんですが、法大がトップでしたからね。監督やコーチの喜ぶ顔が目に浮かんで、僕もうれしかったですね。
その時の2位との差が、僕らの目から見たら無茶苦茶に離れていて、(後ろのチームが)この距離を抜くことなんかできるのかって思いました。それが、寮に帰ったら往路のゴールは6位でしたからね。復路も頑張ってほしかったのですが、あの差を1日のうちに逆転されたんじゃあ、シード権もどうかなって感じました。今回こそは、シード権を取れるように、前回以上の快進撃を期待しています。
個人的には、織田記念の時に徳本の実家に泊めてもらいました。彼の素顔は、純愛映画を好む青年です(笑い)。同じ鹿児島県出身の入船(順大)も、国体の合宿で一緒になったことがありますし、テレビに映れば頑張れよって思ってます。
<山村貴彦>
短距離選手としてというか、一陸上選手としての率直な感想としては、関東だけの駅伝なのにすごい注目のされ方だなって思います。実際、日本選手権なんか比べものにならないくらいの人が沿道で応援しますよね。長距離選手は幸せ者ですよ。
そう思いますけど、ただでさえ20kmを走り切れる選手を育てるのは難しいと思うんです。それを1つの大学で10人そろえなきゃいけないっていうのは、並大抵のことじゃありませんよね。コーチの情熱、選手のモチベーションは正直、すごいと思います。
駅伝や長距離、僕は嫌いじゃないんです。高校(大阪・清風高)の時も都大路に応援に行きましたし、インカレでも最後まで残って見ていますよ。
箱根では肝心の日大がなかなかテレビに映らなくて応援しにくいのですが、シードは確保してほしいと心の中で応援しています。日大は今、絶対的なエースがいない分、自分が頑張らないといけない気持ちが強く、団結力が感じられます。出雲、全日本といい形できていますので、箱根も一発、やってくれるんじゃないですか。
個人的にも、順大の野口は高校の同級生ですし、奥田(順大)や徳本(法大)とも仲がいいですよ。日大では藤井ですね。からかっても乗ってきてくれるし、きついことを言っても落ち込まない奴ですから話しやすいんです。冗談半分にですが、“天狗になったら自分を見失うぞ”、なんて話したこともあります。
活躍すればスター扱いですが、それも大会を支えてくれたり手伝ってくれたりする人たちがいてこそ可能になることを、忘れないでほしいと思います。