2002/7/5 パリ・ゴールデンリーグ
特集 パリの日本人
2人目・朝原宣治

それでも、朝原に期待できるのは……?

 パリで最も首を捻った日本選手が朝原宣治(大阪ガス)だった。ローザンヌではB組だったとはいえスタートからリードを奪って中盤、終盤と危なげない走り(リードを広げたように見えた)で逃げ切った。だが、パリではスタートで明らかに遅れると、今回は相手が“決勝”のメンバーということもあり、そのまま徐々に引き離されて8位でフィニッシュ。追い風0.4mで10秒26は、力を出し切れなかったレースと言って差し支えないだろう。
「(ビデオでスタートを見ながら)なんでこんなに遅いんやろ。ここまで置いていかれるのは珍しいです。(9秒台への)プレッシャーとかじゃないと思います。テクニックミスです。(スタートの遅れで)焦ったわけじゃありません。それよりも、途中からは走りのタイミングがずれています。このメンバーだと、どうにも追いつかないですね」
 ローザンヌの結果で、急きょ3日後のパリに出られることになったが、そのあたりはいつものこと。実際、昨年10秒02を出したオスロの前にも急きょ、ニースに出場できることになって、1レースをこなした後でオスロに出ているのだ。
「今日も、ちょっとしたことで走りが狂ってしまいます。“悪かったらこうなる”という範囲の中の悪かったケースで、予想した範囲と言えば、その中になります」
 予想を下回ってしまったのは事実だが、今後の展望にまったくつながらない走りではなかった。
「今日の走りで10秒26では、どんなに修正できても10秒0台後半でしょう。この走りで10秒20なら修正すれば10秒0台前半や9秒台が出るかもしれません」
 ということは、この日はテクニック的にいくら上手く行けたとしても、9秒台は厳しかったということ。ということは、調子を上げていくには、2つの方法がある。先にテクニック的な部分が解決して、あとで体調、スプリンターとしてのテンションが上がる場合。もう1つはその逆の順。朝原としては1つ目のパターン、3日後のザグレブでテクニックの修正を完了させ、ローマあたりで記録を狙いたいという展望は崩していない。


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