2004/6/27 ゲーツヘッドSGP
末續、10秒37で4位グランプリの洗礼
前半は善戦するも、後半は課題が明確に
英国グランプリ(国際陸連スーパーグランプリ)は27日、英国北部のゲーツヘッドで行われ、男子100 mに出場した末續慎吾(ミズノ)は10秒37で4位だった。優勝は昨年のパリ世界選手権金メダルのキム・コリンズ(セントキッツネービス)で10秒21。気温23℃、向かい風1.6mというコンディションだった。
1回目のスタートは1レーンのマヨラ(キューバ)がフライング。仕切り直しのタイミングは早く、1分後には2度目のピストルが鳴った。末續は3番目に早い0.157秒のリアクション。しかし、隣の4レーンのコリンズが、鋭いダッシュでリードした。序盤こそ2位争いのトップに立っていたように見えた末續だったが、後半は8レーンのザカリ(ガーナ)、5レーンのルイス・フランシス(英)、7レーンのスミス(英)、6レーンのガードナー(英)らとの2位争いに。
ザカリが10秒26と抜け出したのに対し、末續は混戦の渦中でもがくような走り。10秒34のルイス・フランシスに届かず10秒37で4位だった。スミスには同タイムで、ガードナーには0.01秒差で競り勝ったとはいえ、周りの影響を受けたのは確かだった。
なお、男子400 mHに出場を予定していた為末大(APF)は、腰に痛みが出て欠場した。
末續コメント
「今日は完敗ですが、次はそうは行きませんよ」
「競り負けました。そんなに悪くないですけど、でも(相手が)強かった。日本選手権ほどよくありませんでしたが、前半は勝負ができました。コリンズには、出られたなと思いましたが、それなりに冷静に頭を下げて行けました。ところが、上げるところでウチ上がってしまった。60mからあごが上がりました。終盤は練習量で持っていった感じです。
(後半がダメだった原因は)精神的なものもあるでしょうし、海外グランプリ初戦というのもあるでしょう。日本とはやっぱり違いますね。同じレベルの選手がゴウっと来て、最後は力みが出た。甘ちゃんなんです。(力みとか)そういうことを言い出したらキリがありません。今日は完敗。負けましたが、次はそうはいかないですよ。もう1回やらせて欲しいですね。もう1回“オラオラ”というのを味わいたい。
グランプリ遠征の目的は、思い通りにいかない場合を想定して、レースをしてみたかった。パーソナルベストは大したことなくても、こうして走って、決して油断していない(選手もいる)。9秒台や10秒0台の選手の間に入ってくるんです。正直、勝ちたい気持ちが空回りしてしまいました。僕は37ですか。まだまだですね。風を換算しても10秒1台。±0で10秒0台にしたかったですね。
でも、楽しかったですよ。70mくらいで横にゴロっといて、そこで“このヤロー”っと言う感じでした。ちょっと興奮しましたね。最初から競るのが100 mの面白さ。これがやりたかったことです。オリンピックは200 mと両方に出たいですね。本当に欲が出てしまいます。あえて決めたとしても、やっていくうちに絶対、そういう気持ちになる。欲張りなんです。
正直、もう1本欲しかった。まあ、今日はウォーミングアップ・ミート。明後日頑張ります。次、期待です」
高野進コーチ・コメント
「焦りがあってラストの30mは切り返しが遅れていた」
「スタートは悪くありませんでしたが、予想以上にコリンズに出られました。そこを我慢して2〜3位に粘って、差を詰められるようなら即、世界大会でも行けたのですが、ラストの30mは切り返しが遅れていた。それがなければ2位争いができた。微妙に焦りがあったのでしょう。体を置いて気持ちが前に行くと、ポイントが遅れてしまいます。その点、コリンズは世界のトップ。あのくらいの走りがいつでもできるということ。
200 mの方が取り返しがつくし、自分のレースパターンが自動化されている。その点、100 mは1歩目から殴り合いのケンカをしているようなもの。出鼻をくじかれて、へなへなとなってしまった。この世界、相手を引き離すときと、引き離されるときでは力の出方が違うんです。そこを中盤から逆転できる戦略ができれば、克服できます。
今回の遠征の目的は100 mの走り方の学習。今日はもちろん100点満点じゃないが、明後日は修正できる部分もある。こっちに着いて4日目でまだ、完全に目覚めていません。次は今日よりは上になる」
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