2002/6/28
ビスレット・ゲームズ速報
グリーン敗れる!!

 モーリス・グリーン(米)が負けた。
 男子100 mは3レーン・モンゴメリー(米)、4レーン・グリーン、5レーン・チェンバース(英)。昨年の世界選手権、今年の全米選手権に続きグリーンとモンゴメリーの争いになるものと思われ、モンゴメリーもレース前、世界記録保持者にして97年のビッグゲームで負けなしのグリーンを挑発していた。
 フライングの多かった大会だが、男子100 mは一発でスタート。反応もよく、グリーンが序盤で僅かにリード。中盤、後半とじりじりとモンゴメリーを引き離し、1着でフィニッシュした……と、思った。が、直後にテレビ画面は「Winner Chambers」と表示。確かに、外側のチェンバースが来ていたのは気づいたが、逆転しているとは…。記者席の雰囲気も、「なんだ、テレビ間違えてんじゃないか」といった雰囲気。
 リプレイが放映される。なんと、確かに終盤、チェンバースが追い込み、僅かだがフィニッシュライン上では前に出ていた。10秒05と10秒06。風はマイナス0.1m。
 テレビのインタビューを終えると、チェンバースが満面の笑みでトラックに出てきて、場内をウイニングラン。それまでの表彰は上位3人がホームストレート中央のインフィールドに集合し(日本のように係員が全員を集めて誘導したりしない。各人がバラバラに集まってきたりする)、3位から表彰していたが、男子100 mはチェンバースが最初に1人でウイニングランからそのまま表彰台に。そこに、3位のモンゴメリーがフィニッシュ地点から走って現れて合流し、次にグリーンも走って登場。演出なのか、成り行きでそうなったのかはわからないが、“お決まり”の表彰風景ばかりが続く日本の大会と比べると、新鮮な驚きだった。
 表彰が終わると同時に「Press Conference」の紙製ボードを持った女性役員が、「カンファレンス、カンファレンス」と記者席に声をかける。先に現れたグリーンが席に着き、司会者が「今の気分は?」と質問。
「テリブル!!」
 しかし、機嫌が悪いわけではなさそうだ。表彰中も、チェンバースと何度も抱き合い、観客に笑顔を向けていた。
「100 mで最後に負けた相手もドゥウェイン(チェンバースのファーストネーム)で、グラスゴーだった。エクスキューズはしない。うまく説明ができないが、自分としてはよく準備ができていたと思う。ドゥウェインの準備がよりよくできていたということだろう。100 mでは何が起こるかわからないということがわかったと思う。もう1回レースをしよう」
 一方のチェンバースは、「今日、尊敬するのは誰」と聞かれるとすかさず「モーリス!」と答えるなど、グリーンに敬意を払いつつも、嬉しさは隠しようもない。
「2人(グリーンとモンゴメリー)はつい最近、アメリカから来たばかりだが、自分はイギリスからちょっと飛んできただけ。それを考えなきゃ。でも、モーリスは陸上競技を代表する役割の選手。その選手に勝てたのだから嬉しくないわけがない。来週、フランスでも彼と対戦することを楽しみにしている。ヨーロッパ選手権と英連邦大会の2つに勝つために、今日の勝利は大きなステップとなったと思う」
 グリーンの会見はいつも陽気な雰囲気で終始する。負けたこの日も、例外ではなかった(会見中のチェンバースとグリーン)。

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