マリンコース注目のランナーA
三代直樹
(富士通)
復活と新たな一歩

 11月23日の国際千葉駅伝(特別協賛:ライフ)の出場選手が決まった。今回の日本代表には、いろいろなタイプの選手がいる。国際舞台を経験している選手もいれば、新人選手もいる。そして、再起のきっかけや殻を破るキッカケとしたい選手も。2002年の千葉マリンコース、注目の日本選手を紹介していく。

「千葉では復活をアピールしたい。そして、新しい自分も見せたいと思っています」
 98年は日本チームの3区で区間3位、99年には千葉県選抜の1区で区間賞。三代直樹(富士通)と国際千葉駅伝の相性はいい。その三代が2つの狙いをもって、3年ぶりのマリンコースに挑もうとしている。
 1つめは復活。
 三代は一昨年、1万mで国際的レベルを示す27分台を記録し、昨年はエドモントンの世界選手権にも出場した(22位)。ところが、その後椎間板ヘルニアが悪化。元旦の全日本実業団対抗駅伝まではごまかしながらも頑張ったが、2月には手術に踏み切った。そのため、トラックシーズン前半を棒に振った。アジア大会選考会の日本選手権(6月)も、あきらめざるを得なかった。
「夏の間はいい練習ができ、27分台も狙える状態でした。スピード練習でも距離走でも、チーム内の練習では引っ張っていましたから。ところが9月に調子を崩してしまい、1カ月ほど引きずってしまった。その後、もどってはきていますが、27分台までは、という状態です」
 1区区間賞のときのタイムは27分51秒で、三代の1万mのベスト(27分59秒39)よりもいい。1区は下りのあるコースなので、トラックの記録より良くなることが多い。練習は質、量ともそのくらいでは積めているはず。1区・3区の10km区間に起用されたなら「そのあたりのタイムが目安になる」という。
 しかし、もしもそのくらいのタイムが出せたなら、今の三代にとって単なる復活にとどまらない。というのは、三代のこの夏の練習は、2〜3月のマラソン出場を目指したものだったからだ。
 三代は順大時代に2度のマラソン出場があるが、タイム的には目立ったものを残していない(4年時の別大は途中棄権)。その後も、日本選手間ではトップレベルのスピードを生かし、トラックで世界を目指してきた。それが、世界選手権で“世界のスピード”を見せつけられ、トラックでの世界挑戦の難しさを実感。マラソンへの本格進出を決意した。
 夏の練習はマラソンを視野に入れたものだったが、1万mの27分台を自覚できるほど、質も高かった。9月の不調は、その疲れが出た可能性も否定できない。それほど、充実した練習だったのである。
 そうだといっても、純粋にトラックを目指した練習と比べたら、“キレ”は不足している。その状況で、27分台の記録を出すには、重要となるのは何か――。
「この1年、手術もしましたから、復活を見せたいというのもありますが、新しい自分も見せたい。具体的には、粘る走りを見せられたらいいですね。きつくなってから粘れないと、意味がないんです」
 三代らしいスピードが戻り、その上で粘りも見せられれば、マラソンに向けた練習の流れでも27分台は出る。国際千葉駅伝は三代にとって、重要なバロメーターとなる。


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