マリンコース注目のランナー@
橋本 歩(三井住友海上)
“渋井2世”の由来は……
11月23日の国際千葉駅伝(特別協賛:ライフ)の出場選手が決まった。今回の日本代表には、いろいろなタイプの選手がいる。国際舞台を経験している選手もいれば、新人選手もいる。そして、再起のきっかけや殻を破るキッカケとしたい選手も。2002年の千葉マリンコース、注目の日本選手を紹介していく。
“渋井2世”として三井住友海上が売り出そうとしているのが、弱冠19歳の橋本歩である。和歌山県の日高高から入社して1年目。今季、全日本実業団5000mで2位になるなど、急成長を見せている。本家・渋井陽子の活躍は今さら記すまでもないかもしれないが……5月に1万mで30分48秒89の日本新、マラソンでも10月のシカゴで2時間21分22秒の日本歴代2位を記録した。だからといって、橋本もマラソンまでやれる保証があるわけではない。三井住友海上の鈴木秀夫監督は、次のように説明する。
「性格も違うし、共通点ってほどのものはないけど、スピード的にはいいものを持っているね。練習で400 mや1000mの距離なら、渋井の上を行っている。そのくらいの力は持ってるね。マラソンまではどうかわからないけど、そのスピードを生かしてどこまで、距離を伸ばせるか…」
橋本は高校2・3年と、インターハイ800 mで2年連続2位のスピードの持ち主。800
mだけにとどまらず、2年時には国体1500mに優勝。3年時には千葉国際クロスカントリー(ジュニア4000m)で3位になっているし、区間順位は25位と振るわなかったが、全国都道府県対抗女子駅伝の9区10kmもつとめたことがある。高校時代のベスト記録は800
m2分05秒79・1500m4分19秒40・3000m9分17秒22と、長距離まで走れる中距離選手だったことがわかる。
「普通、800 mの選手は800 mしか走れないタイプが多い。橋本はそうではなかった。長いのも行けていました。ですが、入社前から“距離を伸ばせる”と約束したわけじゃないんです。あんまり言い過ぎると約束になりませんから。しかし、練習をやっているなかで、持久的な部分が伸びてきたんです」
9月の全日本実業団も、1500mに出場するか5000mにするか、本人に選ばせたという。
レース本番では、福士加代子(ワコール)の15分ペース(1000m3分ペース)に2000mまで食い下がった。記録を狙ったときの福士に渋井以外の日本選手が付いていったのには、正直驚かされた。さらに、11月3日の東日本実業団女子駅伝では1区(6.6km)の2km半ばあたりから独走。新人らしからぬ積極性を見せた。
本家・渋井も「駆け引きなんて自分には似合わない。最初から飛ばして、最後まで飛ばすレースをしたい」と言うほど、積極性が持ち味。初マラソン世界最高(当時)をマークした昨年の大阪国際女子マラソンがそうだったし、鈴木監督の目に留まった高校2年のときから積極的だった。
「国際千葉駅伝では自分の力を信じて、積極的に行って欲しい。経験がないからと、積極性をなくしたら、大きく育ちません。失敗をしても次につながると思って、積極的に走って欲しい」
三井住友海上で強くなった選手は渋井だけでなく、土佐礼子も坂下奈穂美も、積極的なレース展開ができる。橋本はその第一歩を、千葉で印すことになる。
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